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特集

地理的表示保護制度という選択


準備会では、申請に必要な明細書作成委員を選任。次いで、全農家にGI申請の意向についてアンケートをとるなど積極的な活動が開始された。11月から12月にかけては明細書作成委員会を随時開催して品種の選定、生産地の範囲、特性の明確化等々、申請に関わる諸課題について検討を重ねた。
明細書作成委員会のメンバーは各地区の農家組合の代表者5人、協議会代表5人、行政等関係機関代表3人の合計13人。産地が広く、協議会を構成する各組織の思惑等も絡んで必ずしも意見がすんなり集約される訳ではなかった。明細書だけで7回に及び話し合いを持ち、“生産者ファースト”に徹し、みんなで申請及び登録に向けた意思統一を重要視しながら合意形成を図り、平成27年5月には協議会の臨時総会を開き、申請に向けた組織承認を得た。
この事務局を引き受けたのは、流通のシェアが約1/3のJA越後中央東部園芸センターの職員だ。担当の山賀氏は「初めての取組みでどう進めて良いか他の事例もあまりないなかで、丁寧な方法を取った。合意形成には至ったが、産地の生産者がGIを本当に実感したのは登録されて行政を表敬訪問し、メディアで取り上げられるようになってからではないか。そこから本気度が違ってきた」と語る。今ではメディアからの問合せを一手に引き受け、要請に応じて様々な団体を取材先として紹介している。同時に、今シーズンの収穫を前に5月には関係する流通販売事業者40社余りに集まってもらい制度への理解を訴えた。嬉しいのは、新たに協議会に加わりたいと地域の2地区から依頼があったことだという。7月の出荷前には栽培記録カードを確認、さらに出荷終了後には生産・販売実績報告書及び地理的表示の確認を行うこととしており、これから出荷時期を迎え忙しい日々が続く。東京では新潟県のアンテナショップ「ネスパス」のほか、池袋西武や新宿の京王百貨店でもGIマーク付きの商品が並ぶ予定だという。協議会で一つ一つ確認をとって決めた約束ごとが実を結ぶ夏にな
りそうだ。

山岸 喜久男

新潟県を退職後、平成20年4月:新潟県農業会議勤務、平成23年4月:新潟県六次産業化サポートセンター勤務、平成27年7月:県内の果樹栽培技術等を支援。現在は農業のブランド化に関する支援を行なう。

十勝川西いも/北海道 農協を超えた広域連携産地が目指す輸出ブランド

1 産品の概要

火山灰由来の真っ黒い腐植層が厚く堆積した水はけのよい土壌が広がる十勝平野で1970年代から栽培されている「十勝川西長いも」は、長さが短い“とっくり”型で、肌、肉質ともに白く、褐変しにくく、歯ごたえや食感がよく、トロロにしたときの粘りが強いのが特徴である。

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