ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

江刺の稲

平成30年問題で団塊世代のリタイアを考えよ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第255回 2017年08月02日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
講演で必ず使うグラフがある。厚生労働省が終戦の翌年1946年から行なっている「国民健康栄養調査」の「国民1人1日当たりのカロリー摂取量」の年次変化である。
進駐軍の指令によって始まったもので、アメリカは日本人がいかに飢えているかを統計的に明らかにし、自国の余剰農産物を日本に輸入させる根拠とした。確かに飢餓の最中にあった当時の日本にとっては有難い戦勝国アメリカの支援だった。しかし、それ以後、日本の農業政策は常にアメリカの顔色を伺いつつ行なわれてきたというべきなのである。
このアメリカの戦略は、伊勢湾台風(1959年)をきっかけにした日本の養豚家に豚とトウモロコシを送った“美談”にも受け継がれた。それまで残飯を餌としてきた日本の養豚に、アメリカの種豚とその餌としてのトウモロコシをセットで日本に援助と言う形で売り込み、以後アメリカのトウモロコシ無しには我が国の酪農畜産が成り立たないと思わせる“刷り込み”が出来てしまった。
僕が子実トウモロコシにはまっていくきっかけになった2012年のA-1グランプリでの柳原孝二さんのプレゼンテーション。僕はその意義の大きさに惚れ込み、審査では同点の競争相手もいたが、主催者の強弁で審査員を説得して彼をグランプリに選んだ。その時、「アメリカからの圧力はないのだろうか?」と危惧する改革派の農業評論家もいた。子実トウモロコシに関するその後の推移はご案内の通りだが、それほどに我々の思考は過去の結果である“現在”に縛られている。

関連記事

powered by weblio