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山形大学農学部、
自給飼料で豚を肥育
山形大学農学部で進行中の豚の肥育試験は、現在2回目の出荷を間近に控えている。前回の肥育試験と試作加工の結果を踏まえ、より美味しい加工品として9月中を目標にロースハム、ソーセージ、ベーコンとして市販される。現在、肥育豚数は18頭。110kgを出荷の目処としている。7月中旬現在80kg前後で発育は順調だ。
飼料の組成は9割以上が自給生産のトウモロコシと大豆、ジャガイモで、特にジャガイモはフスマと混合してサイレージ(発酵飼料)に調製して給与している。なお、今年から栽培を始める小麦を収穫後、自給のフスマを利用する。
今回の肥育試験では、主にジャガイモサイレージの配合割合を0%、15%、30%に3段階に設定し、ジャガイモの配合割合の違いによる発育速度の評価および肉の品質評価を行なう。
将来的に庄内地域の生産者が自給飼料を主体に肥育する場合、作物の収穫時期や収穫量によって飼料組成を変えざるを得ないことを想定してのことだ。大学ではエネルギーとたんぱく質を一定に維持すれば組成を変えても発育に差はないと仮定している。現在までにジャガイモの配合割合の違いによる発育の差は出ていないという。
視点
松尾 雅彦(スマート・テロワール協会会長 元カルビー社長)
長野県の阿部知事は、1982年に農水省が提唱した地産地消の政策を否定して、「地消地産」を経済政策に据えています。私は昨年、阿部知事から食の“地消地産”アドバイザーの委嘱を受けました。拙著『スマート・テロワール』の仮説の通り、長野県でもまず実証展示圃づくりに取りかかりました。
農山漁村を蘇生するには「地消地産」が原則です。地域再興の原資を国家の財政に依存するのではなく、地域の消費活動をベースにすることが「地消地産」です。農業に限らず、林業でも水産業でも共通の原則です。国家の財政に期待しても、全国すべての地域の要望に応えようとすれば、スズメの涙ほどの配分にしかならず役に立ちません。政治家の選挙の具になるだけです。一方、住民の消費活動は、住民がいるかぎり途絶えることがありません。
「地消地産」はかつて社会システムとして存在していました。しかし、19世紀の産業革命以降に盛んになった分業が海を渡って拡大し、それに伴って仲立ちする商社の事業も増大すると「地消地産」は崩壊しました。そして、現代は「重商主義」全盛の時代になっています。農山漁村の再興を図るには、「重農主義」の旗を立て、地消地産から復活の槌音を響かせること。それ以外に道はありません。
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松尾雅彦 マツオマサヒコ
カルビー(株)
相談役
1967年カルビー入社。宇都宮工場長、取締役を経て、80年カルビーポテト設立と同時に社長就任。北海道を中心に全国でジャガイモの契約栽培と貯蔵体制を確立し、ポテトスナック原料調達システムを整備する。92年カルビー社長、06年から相談役。08年10月食品産業功労賞受賞。NPO法人「日本で最も美しい村」連合副会長を務める。
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