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特集

「30年問題」の焦点


昆 作期分散はうちの読者も当たり前にやっている。うちの読者で儲かっている人って、水田農家だけど麦や大豆を中心に作っているんです。麦や大豆中心の人がよっぽど経営いいんですよ。佐藤さんがご覧になっていて、法人レベルではまだコメが中心になるんですよね。
佐藤 それも餌米と同じ。産地交付金が麦や大豆に手厚くなっていますよね。それが収入の主軸になっている。でもあまりにも稲が楽すぎるから、なかなか手を出しません。
熊野 佐藤さんには失礼な言い方をしたけど、本当はこういうことを言いたかった。業務用米といっても、そんな種類のコメが存在するわけじゃない。業務用米というのは市場が決めるべきなのに、それがないのが大問題なんですよ。これだけはちゃんと言っておきたいけど、流通関係者はそういう市場を作らないといけない、自分たちの責任において。生産者にシグナルを出せと言ったって、何がいくらの値段で売れるなんか全然わからないわけですから。契約栽培すればうまくいくからと、マッチングの促進が叫ばれているけど、それでうまく行くのなら大昔からやっていますよ。そんなことより、ちゃんとした市場を作って、半年先、1年先まで銘柄別の値段がわかるようにしないといけない。
昆 熊野さんの言う通りで、コメはもっとマーケットにさばかれないといけない。
熊野 随分と昔からそういう議論はされていますけど、なかなかうまくいかないのはなぜですか。
村瀬 最大の理由は国策だからですね。本当に需給バランスだけで運営するなら、すぐにできると思います。結局国策で相場を動かされてしまうんで、下がり過ぎたら、急激に上げられてしまう。私はこう話していつも怒られるんですけど、思い切って、下げるだけ下げたらいいと。それで止める農家が増え、今度はコメが足らなくなって米価が上がる。これを先物でヘッジする。これが自然の流れだと思います。農家を本気で守るのであれば、もう一度食管法を復活させればいい。いまは中途半端だと思います。
30、31年産は作況にもよりますが米価が下がるでしょう。でも5年後、10年後にはコメが買えなくなると思っているんです。だから、それまでにどれだけ農家から高く買える企業になっているかというのが勝負。それまでに力をつけて、マーケットを自分でつくれるくらいの会社にしたい。カルビーのようなメーカーにコメ卸がならないかぎり先はない。

【畑作体系の導入こそが突破口になる】

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