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特集

「30年問題」の焦点


これが29年産値上がりの一つの要因だが、もう一つの要因は農協改革に伴う農協のコメ買取集荷への転換で、全農千葉は共同計算委託方式を止め全量買取方針を打ち出した。これにより商系集荷業者との集荷合戦激化が既定路線となり、29年産米の庭先価格の高騰の要因になっている。農協の買取方針転換については全農とパイプが太い商社系大手卸も「共同計算委託方式を止めるというのは農協の有り様を自ら毀損するもの」と懸念を示している。
国産米使用推進団体協議会は、農水省に対して業務用米需給ミスマッチについて対策を講じるように要請、その席で農水省の生産局長らは「その通り」と応じるものの、団体側はもはや全く当てにするつもりはないと言うまでになっている。なぜなら5年間も同じことを言い続けてきたが、政策が変わるどころかますます飼料用米増産に力を入れ、その結果が29年産米の値上がりになっているからである。ミスマッチが起きているのは中食・外食用のコメだけではない。

【加工原料米もミスマッチ 余るもち米、不足うるち米】

味噌・米菓など加工原料米の搗精業者で組織される全国米穀工業組合(略称:全米工)の組合員も飼料用米増産政策で、原料となる特定米穀(くず米)の供給量が減少、著しい価格の高騰で、需要者に供給する原料米が確保できなくなっている。全米工では、こうした状況が続くと需要者に供給責任を果たせなくなるばかりか、低廉な原料米を搗精して適品を需要者に届けるという業そのものが成り立たなくなると不安を抱くようになっている。全米工組合員が供給する特定米穀白米の価格は、競合するMA米はもちろん国産加工用米より高値になっており、販売先需要は次々にMA米にシフト、売り先を失いつつある。全米工もこうした現状を農水省に伝え、政府米の売却等を要請しているのだが、全く効果がない。このため需要者団体と歩調を合わせて現状を変えるべく、今年6月に国産米使用推進団体協議会に参加したほか、酒造組合や米菓、味噌組合等コメ加工食品業界団体で組織される加工用米協議会にも加入した。
これはうるち米不足というミスマッチを解消することを目的にした行動だが、もち米は全く別のミスマッチが起きている。
別表(表2)は全農がまとめたもち米の需給見通しである。黄枠部分の数値が年度末在庫で、今年10月末在庫は前年度末在庫より2万2000tも多い5万6000tになると見込んでいる。すでに市中ではもち米需給の緩和により60kg1万円を切るもち米の売り物が出るまでになっている。

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