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特集

「30年問題」の焦点



【コメ業界に危機感が拡がっている】

昆 平成30年にコメ政策が変わる話は、自民党が政権を奪回したときから決まっている。今年になってわいわい騒ぐのは、僕に言わせりゃ、お前らバカかと。あえてひどい言い方をするのにはわけがある。自民党農林部の連中か知らないけど、先物市場の本上場を先送りするという日本農業をつぶすようなことをしているから。実は農家一般よりも、事業的に農業をやる人がいかに健全であるかが農業と農村にとって大切。
今日は現場で生産と集荷をやっていらっしゃる佐藤さん、そして需要側の千田さんと村瀬さん、事情通の熊野さんに、コメの元凶を取り除くにはどうすべきかという話をしていただきたいと思っています。まずは熊野さんからいまのコメ業界の解説をしていただけませんでしょうか。
熊野 ひとつ非常にわかりやすい話をしましょう。農協改革で農協は買い取りをしないといけないですよね。その結果、29年産は随分と相場が上がって、いまだと宮崎が1000円くらい高くなっている。千葉と茨城の先渡し価格が出ていますけど、それも1000円くらい高くなっている。そのひとつの要因は、農協が買い取りするので、集荷合戦になっていることにある。とくに全農千葉は委託販売を止めて、全量買い取りをすると言ったんで、千葉の集荷業者が浮足立って、値段だけが先行して庭先価格がすでに上がってしまった。とはいえ農協は買い取り集荷をするものの、それをどうヘッジするかについてまったく策を示していない。一番必要なのは先物市場なんですけど、抜けているんですね。
不思議なのは、全農本体が作成した農協改革についての文章にはヘッジ機能を使っていくと書いてある。とはいえそのヘッジ機能とは何かについてはまったく説明しない。もし複数年契約がヘッジ機能だと主張するなら、間違いですよね。生産者にもっとわかりやすく説明しないと大変なことになる。
昆 コメの生産と集荷をしている佐藤さんからも情勢報告をお願いします。
佐藤 少しさかのぼって28年産の話からします。我々は集荷業者として契約以外のコメ(コシヒカリ)もそのつど扱うのですが、それが28年産ではまったく売れなくなった。何カ月もオーダーが入らなかったんです。余っているコメは営業倉庫に預けるので、そこに置けば置くほど、費用の負担がかさみます。
そこで1月くらいに先物市場の「合意早受渡し」という手法で、希望売り価格を提示しました。ところが希望売り価格にまったく反応しないから、下げざるを得ない。資金繰りの関係で大量の在庫を抱えるわけにはいかないし、先々値上がりする見込みがなかったので。とりあえず岩船のコシヒカリ30tを合意早受けで渡しました。で、それは安値でしたがすっと動きました。1万3700円(税別)くらいです。

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