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【土と施肥の基礎知識】
単肥を使おう
- 東京農業大学 名誉教授 全国土の会 会長 後藤逸男
- 第21回 2017年09月01日
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肥料取締法で、「肥料とは、土壌に化学的変化をもたらすために、土地に施されるものと、植物に栄養をあたえるために、土壌または植物に施されるもの」と定義され、普通肥料と特殊肥料に大別される。
前者には肥料成分含有量を保証する公定規格が設けられている。その保証成分が1つのみの肥料を単肥、2つ以上の肥料を複合肥料という。単肥としては、硫酸アンモニウム(硫安)・過燐酸石灰(過石)・塩化カリ(塩加)などがある。複合肥料には複数の成分が混合されて均一な粒に造粒してある化成肥料と2つ以上の肥料が混合されている配合肥料がある。
また、肥料原料の種類により、有機物を原料とする有機質肥料と、無機物を主原料として化学的あるいは物理的処理が施された化学肥料に分類される。とりわけ消費者には、「有機質肥料は善、化学肥料は悪」と思われることが多い。そこで、まずはその点について考えてみよう。
油かすや魚かすなどが有機質肥料の代表格で、「かす」という名前からもわかるように有機質肥料の原料はほとんどが食品工業から発生する食品廃棄物である。すなわち、有機質肥料とはリサイクル肥料ということになり、環境にやさしい。
一方、化学肥料とは化学的に合成した肥料と思っている人が多いようだが、その原料はすべて天然物である。窒素肥料の原料は大気中の窒素ガスと天然ガス中の水素ガス、この両者を化学反応させてアンモニアを製造する。リン酸肥料の原料はリン鉱石という天然鉱物(写真1)だが、その中のリン酸は植物が吸収しにくい形態となっている。そこで、リン鉱石に化学的あるいは物理的処理を施して過石や熔成リン肥(熔リン)などのリン酸肥料を製造する。カリ肥料の原料はカナダやロシアの地下に埋蔵される岩塩(写真2)だ。それを砕いた肥料が塩化カリで、硫酸処理を施すと硫酸カリとなる。すなわち、化学肥料は決して「悪」ではない。ただし、課題は日本には化学肥料の原料資源がないことである。そのため、肥料原料のほとんどを輸入に依存している(図1)。
また、肥料原料の種類により、有機物を原料とする有機質肥料と、無機物を主原料として化学的あるいは物理的処理が施された化学肥料に分類される。とりわけ消費者には、「有機質肥料は善、化学肥料は悪」と思われることが多い。そこで、まずはその点について考えてみよう。
油かすや魚かすなどが有機質肥料の代表格で、「かす」という名前からもわかるように有機質肥料の原料はほとんどが食品工業から発生する食品廃棄物である。すなわち、有機質肥料とはリサイクル肥料ということになり、環境にやさしい。
一方、化学肥料とは化学的に合成した肥料と思っている人が多いようだが、その原料はすべて天然物である。窒素肥料の原料は大気中の窒素ガスと天然ガス中の水素ガス、この両者を化学反応させてアンモニアを製造する。リン酸肥料の原料はリン鉱石という天然鉱物(写真1)だが、その中のリン酸は植物が吸収しにくい形態となっている。そこで、リン鉱石に化学的あるいは物理的処理を施して過石や熔成リン肥(熔リン)などのリン酸肥料を製造する。カリ肥料の原料はカナダやロシアの地下に埋蔵される岩塩(写真2)だ。それを砕いた肥料が塩化カリで、硫酸処理を施すと硫酸カリとなる。すなわち、化学肥料は決して「悪」ではない。ただし、課題は日本には化学肥料の原料資源がないことである。そのため、肥料原料のほとんどを輸入に依存している(図1)。
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後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
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