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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

人材と雇用の話(5)専門知識を有する左腕

AIは経営者の左腕となるか?

某局のAI(人工知能)を利用し、日本の未来を考えるテレビの特番を見てびっくりした。AIが「日本を滅ぼす原因」の一つを「40代のひとり暮らし」だと回答したのである。
人口動態統計や産業動向調査など5000種類、過去30年間の公的データからAIが導き出した答えは、1位が核家族世帯数で、2位が40代のひとり暮らし率、3位に病院数、4位に女子中学生の肥満指数、5位に平均婚姻年齢(初婚男性)だった。放映中から注目を浴び、放映後もTwitterやインターネットなどで物議を醸しているようだ。
この番組に登場したAIの分析結果と提示方法について、私が注目したことが2つある。
一つは、40代のひとり暮らしは日本の人口の1.9%、約250万人しかいないのに「影響あり」と推定できた点だ。一般的にはシェアの大きい領域から解析をしていくのが常道である。ところが、解析量が多いからか、人口の少ない領域から第2位の回答を導いたのだ。人間ならば、経験から仮説を立てて要因を絞り、調査・分析を行なって、最も有力なところをいくつか並べるだけに、着眼点の違いに驚かされた。
二つ目は遠慮がないところである。私が経営分析を引き受けた場合、たとえ思わしくない数値が示された項目があっても、あからさまに経営者にその項目が悪いと指摘するのを避けてしまう。言葉や文字にするにも表現の仕方を選んで、直接核心に触れないようにする。相手も弱点がわかっているなら尚のことである。人間対人間の交渉とは、関係性を無視して進めても良いことがないことを過去の経験から知っているからだ。しかし、AIは違う。容赦なく、導き出した答えを提示できるのだ。
これまでも非人間的なAIの特徴は空想世界のなかで物語に登場してきた。思い出したのは『戦闘妖精雪風』だ。神林長平氏の小説が原作で、ラジオドラマ、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)の製作、漫画化もされたSFである。このなかに登場する惑星フェアリィから地球に侵攻してきた謎の異星体「ジャム」は、これ自体がAIの戦闘機のようだ。人類は多国籍軍のフェアリィ空軍を組織して対抗する。得体の知れないジャムを分析するために集められた、他者に極めて関心を持たない人間たちが、AIを搭載した電子偵察機に搭乗し、敵の情報だけを持ち帰る任務を始めるのだが、たとえ味方が敵に打ち落とされても、ミッションを続行し戦闘情報だけを持ち帰るという冷徹さを見せる。

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