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イベントレポート

「野生動物と家畜の共生を目指し」持続可能な地域創りを学ぶ/農村経営研究会視察ツアー

農村経営研究会は7月31日~8月2日、ファームエイジ(北海道当別町)代表取締役の小谷栄二氏の協力で、北海道の当別町・十勝地方の視察ツアーを開催した。野生動物と家畜の共生を目指した小谷氏を中心とする取り組みと、それに共感する人々による持続可能な地域創りツアーである。今回の視察ツアーを実施するきっかけは2月15日に行なわれた定例会での小谷氏の講演にあった。
農村経営研究会ではこれまでたびたび畜産と獣害の話題が上っていた。福島県の降矢敏朗氏による耕作放棄地を活用した放牧養豚、アドバイザーの松尾雅彦氏が提唱しているスマート・テロワールの構想、本誌の国産飼料の子実トウモロコシ生産の提案などを受け、地域における畜産の果たす重要な役割が話し合われてきた。また、獣害の問題は、ジビエとしての用途が広まる一方で、捕獲の困難さも挙げられていた。
そこに新たな可能性を示したのが小谷氏の講演である。その内容は、風土と調和する畜産動物と野生動物の管理のあり方、ひいては持続可能な農村の暮らしのあり方を提唱するものだった。
小谷氏は、ニュージーランドの電気牧柵を使った管理放牧の技術を日本に導入した立役者である。1985年に設立したファームエイジは「フェンスで日本の農業を変革する夢」を創業精神に掲げ、畜産動物・野生動物をコントロールする電気柵などの農業資材の開発・販売、ニュージーランドの放牧システムの提案・普及を事業対象としている。乳牛のみならず、肉牛や豚、羊や山羊などの管理放牧の技術も提案している。また、小谷氏自身は一般社団法人エゾシカ協会に参画し、エゾシカの捕獲から加工までを産業として成立させる活動にも力を注いでいる。
視察団は小谷氏の案内で、畜産動物と野生動物の管理や持続可能な農村の暮らしに携わる人々を訪ねた。以下、主な視察先を紹介する。

1日目(7月31日)当別町
当別町に新風を
吹き込む移住者たち

視察団は初日、新千歳空港から車で約1時間北上し、ファームエイジのある当別町へ向かった。当別町は石狩地方に位置し、南北に細長く北部には山地、南部には平野が広がる町である。ファームエイジは山地と平野のちょうど境にあった。
この日は、ファームエイジ周辺に移住者たちが集まってできたいわゆるエコビレッジを視察した。エコビレッジとは世界各地にある社会づくりのコンセプトで、「環境負荷の少ない暮らし」と「お互いに支え合う仕組み」を求める人々が作る、持続可能な新しい社会のモデルを目指すコミュニティ(共同体)である。

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