ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

イベントレポート

「野生動物と家畜の共生を目指し」持続可能な地域創りを学ぶ/農村経営研究会視察ツアー


15年5月、当別町にエゾシカの確保から加工、販売までを事業化した会社が立ち上がった。岩間勝氏が代表取締役を務めるジビエ工房である。視察団は加工所と直売所を視察し、岩間氏の話を聞いた。
ジビエ工房では社員のハンターと契約ハンターが確保したエゾシカを精肉と加工肉のソーセージやハム、バーガー、唐揚げなどに加工している。安全な肉を確保するため、首から上を撃つ「ネックショット」と呼ばれる狩猟方式のみに限定している。また、野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針に基づき、銃で撃ってから1時間半以内に処理するようにしている。岩間氏は獣害対策で捕獲したエゾシカを焼却処分していることを知り、食に活かすための事業に挑戦した。
現在、エゾシカの捕獲量と市場の需要量、良い品質の肉を提供するための加工所の人材育成とのバランスに苦慮しながら、これも野生動物を事業にする難しさと捉え、次のステップへと進もうとしている。
一行が次に向かったのは恵庭市にある「えこりん村」である。えこりん村は、びっくりドンキーなどの飲食店を経営する(株)アレフが、持続可能な社会を目指し、子どもたちが動植物と触れ合える場を提供しているテーマパークである。えこりん村では畜産も営んでおり、電気柵を使って豚や羊を放牧している。視察団は平場で放牧されている子豚や、山林のなかで放牧されている母豚の様子などを視察した。

3日目(8月2日)
放牧から加工製品まで
こだわりの食に
挑戦する人々

3日目は、十勝地方に向かい、初めに上士幌町にある十勝しんむら牧場を訪ねた。十勝しんむら牧場は、放牧による酪農業を軸に、乳処理から乳製品の加工・販売、菓子製造、飲食店を営んでいる。現在、経営面積は草地80 haと山林25 ha、経産牛約85頭、総頭数は約140頭になっている。
代表取締役の新村浩隆氏は、できる限り牛や環境に負荷をかけない酪農業をモットーとしている。牛は牧草を主とし、輸入穀物飼料の量を抑え
ている。牧草地は施肥と牛糞の微生物分解によって生物多様性のバランスを保つように配慮している。また、畜舎はバイオベッド方式を導入しており、開放された畜舎でも牛が冬でも暖かく過ごすことができる。牛糞は堆肥化して近隣の農家に提供している。視察団が驚いたのはこの堆肥の臭いがほとんどないことだった。
新村氏は、牧場に隣接する山林を活用し、豚の放牧も始めた。現在11 haを電気柵で囲い、そのなかで28頭を放牧している。繁殖中の豚を含めると計110頭になる。豚を始めた動機はおいしいベーコンが食べたかったからというもので、劣悪な環境で肥育するよりも牛と同じように放牧で肥育することを選んだ。

関連記事

powered by weblio