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イベントレポート

フランスと北海道の産業用大麻(ヘンプ)ビジネスを学ぶ/日仏ヘンプ国際交流シンポ


菊地氏によると「とちぎしろ」の土地生産性は10a当たり約60万円。Santica27の種代は10a当たり1000円で、導入しやすい価格設定といえよう。栽培・収穫の段階で環境条件、経済的条件が整っていれば、加工段階での障害は少なくなり、自動車産業や建材メーカーなどの協力も得やすくなると見込む。

フランスのヘンプ産業が
ビジネスを広げた理由

そもそもフランスとの関わりは15年9月に敢行した視察ツアーで、農家や種子会社、一次加工会社という生産側だけでなく、建築現場や自動車部品会社など利用する側を訪ねたことから、交流が深まったという。さらに、昨年12月にフランスビジネス投資庁と在日フランス大使館が主催した日仏イノベーションフォーラムを機に、FNPCとの商業ベースでの展開が加速し、今回のシンポジウム開催が実現した。
FNPCは1932年に設立され、50年代から産業用ヘンプのみを扱い、品種改良を手がけてきた。フェブリエ氏曰く、フランス政府がFNPCを後押しした理由には、シャルル・ド・ゴール元大統領が深く関与しているそうだ。65年に打ち立てた政策では、各方面で米国・英国の影響を受けずに各製品分野のレールを引くことを重要視した。農業政策もその一つで、産業用ヘンプについても67年より種子生産・販売者であるCCPSCと連携して協力体制を築き、「産業用ヘンプで未来を築こう!」をキャッチフレーズに掲げてきたというわけだ。
敗戦後、GHQにより敷かれた大麻取締の規制が厳しく、いまだに農業政策として産業用ヘンプの栽培・利用を後押しできずにいる日本との違いがここに見られる。それだけシャルル・ド・ゴール政権が示した道筋は産業界を盛り立てたと認識されているようだ。
海外事業を担当する空閑正樹理事はこう話している。
「産業用ヘンプに関する情報が日本では少なく、正確な情報が得られません。海外に出かけて具体例を見て学んでこなければ状況がわからないのです。海外では産業用ヘンプの利用用途が広がっているので、生産体制も確立されています。日本でも次世代の農家には、この古くて新しい農作物の可能性に興味を持ってもらいたいですし、各界のイノベーターには世界で加速を続ける産業利用の潮流を逃さずビジネスチャンスを見いだしてもらいたいです。供給側の生産者と、新素材として商品化したい業界が両輪で進めていくことが重要だと考えています」
フランス大使館や北海道庁の協力を得て、交流シンポジウムという形で発表の場を持てたことが成果と言えそうだ。 (加藤祐子)

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