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スマート・テロワール通信

山形大学農学部「実証展示圃」で畑作と畜産の循環システムを検証中



北海道の放牧養豚を視察
スマート・テロワール協会×農村経営研究会

(株)アレフが運営する「えこりん村」(北海道恵庭市)では、畜産業を営んでおり、放牧した豚を出荷している。
子豚のうちは平場で放牧している。春夏は生後約25~30日、秋冬の雪が積もる時期は屋内で肥育後、遅くとも生後3カ月後には放牧を始める。現在約100頭の子豚が駆け回りながら肥育されている。
生後4カ月になると母豚候補は山林で放牧する。8カ月経つと母豚を決
め、他は出荷される。母豚候補は電気柵で囲まれた山林で自由に動き回り
ながら過ごしている。子豚と母豚は好きなときに自由に餌が食べられるように、放牧場の一角にそれぞれ濃厚飼料の給飼場が設けられている。
このようにストレスが少ない環境で豚を肥育しているため健康状態が良好だという。

視点

松尾 雅彦
スマート・テロワール協会会長
元カルビー社長

【放牧養豚の意義】

7月31日~8月1日、私は北海道の放牧養豚場や害獣対策の現場を視察しました。恵庭市にある「えこりん村」では、山林に電気柵で囲った放牧場を作り、ストレスの少ない環境で豚を肥育しています。
畜産はスマート・テロワールの要になります。食料自給率を上げるには、飼料を作らなければなりません。日本人は、コメより肉を食べる欧米型の食生活になったからです。現在は、豚肉加工品のハムやソーセージの大部分は原料に安い輸入品が使用され、国産の肉も飼料の大部分が輸入品です。地域で畑作と畜産の循環型農業を成立させれば、飼料代が抑えられ、国産の豚で畜肉加工品を作ることができます。
地域のなかで畑作と畜産の循環型農業を成立させるには、畑作穀物の加工場ができ、規格外の作物と加工残渣が飼料として活用されることが重要です。堆肥は、畑の土づくりに必要な有機物です。
また、畜肉加工場、大豆や小麦、ジャガイモなどの加工食品の工場は、周年操業の作業場になり、女性の職場になります。
畜産業を「放牧」で行なうことも重要なポイントです。地域の土地利用を考えるとき、平野には水田、傾斜地には畑、そして山際では畜産を営むのが理想的です。コメ余りのなかで、無理に傾斜地や山際の水田を維持する必要はありません。家畜を放牧すればよいのです。もともと畜産は放牧でした。山際の耕作放棄地も有効活用でき、獣害を防ぎ、さらに餌に抗生物質を混ぜなくても免疫力がつき病気になりにくくなります。

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