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特集

産業用ヘンプの世界の最新動向



【米国がレールを引いた世界的な大麻禁止の流れ】

コリンズ 先進国のなかで米国がほかの国と違うのは、長い歴史がないからです。
昆 なるほど、そのとおりですね。
コリンズ 米国では大麻が違法になる前にアルコールを規制する法律ができています。アルコールにしても何千年の歴史があるので、普通の国では考えられないことでした。なぜ米国なら可能かというと、大手企業が政府と結託して法律化してしまったからです。そして、次に大麻を違法にすることにしたんですね。
昆 でも、米国には麻文化はなかったんでしょう?
コリンズ 医療分野では異なる病気に対してカンナビノイドの配合割合の違う薬が作られていました。マリファナはメキシコ人が持ち込んだので税金法などが制定されても、米国議会は強く抵抗しなかったわけです。ところが、大麻を規制する法律ができたら、ヘンプ産業が消えて、同時に薬もなくなった。そこで初めて、事態の重さに気づいたんです。
昆 大麻規制によって米国社会で得をしたのは誰だったんですか?
コリンズ 農業分野では綿の業界です。麻は農薬を使いませんが、綿の生産には農薬がたくさん必要ですから。それから紙、パルプの紙、そして石油産業です。麻の栽培を違法にしなかったら、石油産業は急速に成長しなかったかもしれません。
昆 世界中を見渡せば、大麻はいろんなところで吸われています。習慣性という点では、タバコのほうが強いと思いますが、米国のタバコ産業が自分たちの成長を期待して大麻の規制を画策したということはないんでしょうか?
コリンズ その説はおもしろいですね。ただ、1930年代当時、マリファナを吸う習慣がなかったので、労働者として米国に移り住んだメキシコ人から税収を得ようと模索したという説もあります。
昆 たとえばEU諸国にも大麻の規制がありましたが、日本と同様に米国の影響が強かったのでしょうか?
コリンズ そこまで詳しくありませんが、私の理解では、すべて米国が作った問題です。影響が強い国は抑えられて、敗戦国のドイツと日本はノーと言えませんでした。軍隊ではロープやテントに麻の繊維をよく使います。麻がなければ軍隊は動けないという話もありましたし、米国産のナイロンを麻繊維に替えて売りたかったという話もあります。でも、EU圏では、96年にドイツで産業用ヘンプの国際安全基準ができてからゆっくり進歩しています。ドイツ人の話では、法律上は栽培できることになっていても、小麦などの麻以外の穀物には補助金があるので、農家は利潤の観点で穀物を選んでいるようです。3万haに及ぶEU圏の麻栽培の半分ぐらいはフランスです。

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