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特集

産業用ヘンプの世界の最新動向



【栽培暦と機械作業体系】

麻は用途に応じて必要となる部位が異なるので、品種の選択と栽培体系、収穫方法の検討が栽培するうえで重要になる。まず、栽培品種の雌雄異株と雌雄同株によって収穫できる部位と収穫時期がやや異なる。
雌雄異株では、雄株が先に開花し、その花粉を受けた雌株が種子を実らせる。よって、収穫物は繊維原料となる茎または種子のどちらかに限定される。国内で最も生産量の多い栃木県で生産されているのは、「とちぎしろ」という雌雄異株の品種である。繊維採取の場合は3~4月に播種し、7~8月に収穫するが、種子採取では4~5月に播種し、種子が登熟する9~10月に収穫する。
もう一つの雌雄同株は、1本の茎に雄花と雌花が上下に着く。4~5月に播種すれば、8~9月に茎、種子、葉を同時期に収穫することができるのが特徴である。EU圏では、種子と繊維(茎)の両方を収穫できる雄雌同株の品種が好んで栽培されている。
最近では、オランダの農機具メーカー・グロエノールド社が茎、種子、葉を同時に収穫するためのアタッチメントを開発し、「ダブルカットコンバイン」での収穫作業が実現した。欧米での麻栽培は大規模機械体系に委ねられ、生産面積の拡大に貢献している。
栽培管理と収穫後の茎から繊維を分離するためのレッティング工程までの作業の要点を整理しておく。

●施肥・整地
麻は深根作物で、表土が浅いところでは十分な生育が期待できない。よって、前作物を収穫した跡地をプラウで深耕し、播種前にハロー
(砕土機)をかけて土塊を細かく砕く。
整地前に肥料を施用する。施肥量の目安は、1ha当たり10~15tの収量を見込むドイツの例では、窒素100~150kg、リン酸50~75kg、カリ200~300kg、カルシウム150~200kg、マグネシウム40~60kgである。麻の根が深く張ることで、作付け後は土がほぐれて空気と水を含む土になるため、輪作作物としても有用である。

●播種
繊維採取では、1平方m当たりの播種量は180~200粒(1ha当たり約45kg)である。また、種子採取では、条播で条間75cm、株間30~75cmの設定で、1平方m当たり40~80粒(1ha当たり10~20kg)が播種量の目安となる。雌雄同株の品種の場合は、雌雄異株の繊維採取と同じ播種条件、もしくは若干低い密度での栽培となる。いずれの場合も直播で行なう。

●病虫害防除
麻は病気の発生がほとんどなく防除の必要はない。通常の栽培では土壌くん蒸剤、殺虫剤、除草剤なども一切使わない。したがって、生育期間中の圃場管理に手間がかからない。

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