ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

産業用ヘンプの世界の最新動向


産業用ヘンプの事業領域を図4に示す。麻の収量は1ha当たり靭皮繊維が約1.5~2.5t、オガラが約5~10t、種子が約0.7t、葉が約1~2tである。それぞれの部位にはさまざまな利用用途があり、新しい分野での用途開発が進められている状況である。

4
麻の世界史
~品種の区別と国際的な法規制の課題~

【品種の区別化の歴史】

被子植物の生物進化の歴史では、最近のゲノム解析の研究により、3400万年前に麻の野生種(ルデラリス種)が発生したと考えられている。人類は、その麻の特性を知って、繊維や食用に使う繊維型(サティバ種)と、宗教儀式、医薬、嗜好品に使う薬用型(インディカ種)に長い時間をかけて品種選抜を繰り返してきた(図5)。
2つの品種の区別化を一層加速させた出来事といえば、20世紀に入ってからの国際的な麻薬規制である。1925年に第二アヘン条約が、61年に国連麻薬に関する単一条約が制定され、大麻植物とその樹脂を禁止対象に定めた。これらの麻薬規制により、繊維型と薬用型の麻は異なる歴史の道を歩んできた。
まず、繊維型の麻の変遷をたどると、第二次世界大戦後の米国の影響下にあった西側諸国では、フランスと日本を除き、産業用途であっても栽培を禁止されていた。反対に戦後も栽培が続けられたのは、旧・ソビエト連邦(以下、ソ連)の影響下にあった東側諸国のポーランド、ルーマニア、ハンガリー、旧・ソ連傘下のウクライナ、中国などである。栽培が禁じられた欧米で麻が注目されたのは、作家ジャック=ヘラーが85年に書いた『The Emperor Wears No Clothes(注:裸の王様という意)』という本の影響が大きい。麻は森林や石油に代わる地球にやさしい植物と紹介され、世界各地で翻訳されて60万部以上のベストセラーになった。ちなみに、日本語版は『大麻草と文明』(築地書館)という題名で発売されている。
この書籍をきっかけに麻ブームは産業界で盛り上がりを見せた。93年にイギリスで栽培が復活して以来、94年にオランダ、96年にドイツ、98年にカナダで栽培が開始されることとなる。栽培を解禁するにあたって、マリファナと区別するために法律が整備され、産業用にはTHC濃度が0.3%未満の繊維型の品種に限定されている。
一方の薬用型の麻は、73年にオランダで大麻植物の個人使用を非犯罪化した政策が採用されたことで風向きが変わる。オランダの持つ園芸分野の品種改良技術が民間導入され、THC濃度がそれまでの2%程度のものから10%以上含むものまで数多くの品種が開発されてきた。

関連記事

powered by weblio