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今月の数字

年間165兆円(世界のインフラ投資額予測)


農業分野においてもモノだけでなく技術を輸出するケースが増えてきている。農業技術の輸出は昔からあったが、発展途上国に向けた支援という善意・夢や商社による開発輸入など国内農業とは切り離された動きであり、農産物が日本に逆輸入されることもあって「技術輸出」が歓迎されない風潮があった。しかし、国内市場が縮小し、一次産業に携わる経営者が成長分野を求めるなかで、農林水産「物」の輸出に限らず、技術を含めた経営システムの輸出への関心が高まるのは必然の動きになる。国内の地域由来の自然条件・生産方法・文化に由来する農林水産物の輸出が伸びる可能性は高い。一方で経営システムを輸出することでモノ以上に市場を拡大できる分野もある。「国内農業や農家は損をするだけ」と批判するのではなく、どうしたら損をしないかスキームを考えた方が良い。読売新聞の報道によれば、企業の農業参入を支援する新興企業「銀座農園」は8月から気温が高いタイでは難しいとされるフルーツトマトを生産する栽培技術普及事業を始めた。生育状況に合わせた最適な水やりや施肥量などをマニュアル化しており、生産設備とノウハウをひとまとめにして売り込むという。
プレイヤーになるのは関連企業だけではない。生産者も技術を教えに行って終わりとするのでなく、技術提携や合弁会社設立を考えるべきだ。福岡県三潴郡大木町できのこ類の生産販売を行なう「農事組合法人 秋香園」は九州一の生産量を誇る。この地域では農協と行政等が出資してきのこの種菌センターを立ち上げ、地域の生産者と連携して新たな種菌を毎年生み出している。この種菌センターは、地域活性化等に取り組む他地域の事業者に対しても地域を越えて応援の意味で種菌を出している。秋香園は、台湾の生産者の求めに応じて技術提携も行なってきのこ生産を支援しており、さらなる連携の話も出ているという。
茨城県東海村で干し芋の生産販売を行なう照沼勝一商店はタンザニアでのサツマイモ生産・干し芋加工販売に取り組み、2014年にタンザニアに現地法人を設立、干し芋加工工場を設立して本格生産に取り組んでいる。
これまで積み上げてきたノウハウをパッケージ化し、リスクを想定して事業の仕組みを考えることで、今後もパッケージ型輸出の可能性はインフラ技術同様に広がっていくと考えられる。

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