記事閲覧
【農業は先進国型産業になった!】
農家に自立の機会を与える農産物直売所 みずほの村市場(茨城県つくば市)
- 評論家 叶芳和
- 第8回 2017年10月02日
- この記事をPDFで読む
つくば市に、出荷農家(生産者)1人当たり800万円という農産物直売所がある。一般の直売所の60万円と比較して、桁違いに高い。「みずほの村市場」(1990年オープン)の契約生産者は、直売所向けの農業だけで食える。
ここの契約農家は一流の農家ばかりだ。なぜ、こういう直売所が生まれたのか。ここは運営ルールが面白い。
朝10時半、直売所に着いた。ちょうど買い物を終えて出てきた主婦に聞いた。筆者「なぜ、ここで買っているの?」、主婦「スーパーで買うよりここのは味が美味しいから」。筆者「高くないの?」、主婦「そうね、少し高い。でも、ポイントがついているから、そうでもないよ」「それに、業者さんと話すのも楽しい」
(株)農業法人みずほ(長谷川久夫社長)が運営する農産物直売所「みずほの村市場」(以下、「みずほ」)は、住宅街から離れた、畑の中を通る道路際にある(つくば市柳橋)。皆、車で買い物に来ている。店舗のなかは、朝だというのに賑わっていた。ちょっと驚いた。買い物客が40人くらいはいたであろうか。
広々とした店舗には、小さな区画の棚の上に、様々な青果物が並んでいる。棚ごとに、「やしまさんのレンコン」「しらとさんのシルクスイート」「みやもとさんのレンコン」と、出荷者(生産者)の名前が書いてある。価格も分かり易く表示されている。価格は生産者が自由に付ける仕組みであり、自分のものはこのくらいの価値があると思う値を付ける。同じ品目で違う価格を付けるわけだから、売れる売れないは生産者の自己責任だ。また、誰の出品を選ぶかは消費者の自己責任だ。
この直売所の一番の特徴は、生産者1人当たりの年間販売額が桁違いに高いことだ。平均800万円である。農水省の調査によると、全国の直売所1万6816店の平均は60万円である(2009年度実施調査)。年間60万円では生活できない。これに対し、「みずほ」は農業で食っていける販売額である。トップの農家は年間2700万円売り上げている(トマト農家)。
(注)全国の直売所数は、現在、道の駅を含めると約2万3000店といわれる。
ここの契約農家は一流の農家ばかりだ。なぜ、こういう直売所が生まれたのか。ここは運営ルールが面白い。
(1)朝から賑わう直売所
朝10時半、直売所に着いた。ちょうど買い物を終えて出てきた主婦に聞いた。筆者「なぜ、ここで買っているの?」、主婦「スーパーで買うよりここのは味が美味しいから」。筆者「高くないの?」、主婦「そうね、少し高い。でも、ポイントがついているから、そうでもないよ」「それに、業者さんと話すのも楽しい」
(株)農業法人みずほ(長谷川久夫社長)が運営する農産物直売所「みずほの村市場」(以下、「みずほ」)は、住宅街から離れた、畑の中を通る道路際にある(つくば市柳橋)。皆、車で買い物に来ている。店舗のなかは、朝だというのに賑わっていた。ちょっと驚いた。買い物客が40人くらいはいたであろうか。
広々とした店舗には、小さな区画の棚の上に、様々な青果物が並んでいる。棚ごとに、「やしまさんのレンコン」「しらとさんのシルクスイート」「みやもとさんのレンコン」と、出荷者(生産者)の名前が書いてある。価格も分かり易く表示されている。価格は生産者が自由に付ける仕組みであり、自分のものはこのくらいの価値があると思う値を付ける。同じ品目で違う価格を付けるわけだから、売れる売れないは生産者の自己責任だ。また、誰の出品を選ぶかは消費者の自己責任だ。
この直売所の一番の特徴は、生産者1人当たりの年間販売額が桁違いに高いことだ。平均800万円である。農水省の調査によると、全国の直売所1万6816店の平均は60万円である(2009年度実施調査)。年間60万円では生活できない。これに対し、「みずほ」は農業で食っていける販売額である。トップの農家は年間2700万円売り上げている(トマト農家)。
(注)全国の直売所数は、現在、道の駅を含めると約2万3000店といわれる。
会員の方はここからログイン
叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)