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農業は先進国型産業になった!

農家に自立の機会を与える農産物直売所 みずほの村市場(茨城県つくば市)

農産物直売所は、2010年頃から大盛況である。鮮度が良い、価格が安い、安全・安心、などのイメージで捉えられている。ただ、ほとんどの直売所が、出荷農家の販売額は100万円未満の少額であり、農家の所得向上に役立っているとは言い難い。しかし、茨城県つくば市には1人当たり平均800万円という直売所がある。「農業で食っていける直売所」になっている。これを実現した長谷川久夫社長の経営理念と手法が注目される。
つくば市に、出荷農家(生産者)1人当たり800万円という農産物直売所がある。一般の直売所の60万円と比較して、桁違いに高い。「みずほの村市場」(1990年オープン)の契約生産者は、直売所向けの農業だけで食える。
ここの契約農家は一流の農家ばかりだ。なぜ、こういう直売所が生まれたのか。ここは運営ルールが面白い。

(1)朝から賑わう直売所

朝10時半、直売所に着いた。ちょうど買い物を終えて出てきた主婦に聞いた。筆者「なぜ、ここで買っているの?」、主婦「スーパーで買うよりここのは味が美味しいから」。筆者「高くないの?」、主婦「そうね、少し高い。でも、ポイントがついているから、そうでもないよ」「それに、業者さんと話すのも楽しい」
(株)農業法人みずほ(長谷川久夫社長)が運営する農産物直売所「みずほの村市場」(以下、「みずほ」)は、住宅街から離れた、畑の中を通る道路際にある(つくば市柳橋)。皆、車で買い物に来ている。店舗のなかは、朝だというのに賑わっていた。ちょっと驚いた。買い物客が40人くらいはいたであろうか。
広々とした店舗には、小さな区画の棚の上に、様々な青果物が並んでいる。棚ごとに、「やしまさんのレンコン」「しらとさんのシルクスイート」「みやもとさんのレンコン」と、出荷者(生産者)の名前が書いてある。価格も分かり易く表示されている。価格は生産者が自由に付ける仕組みであり、自分のものはこのくらいの価値があると思う値を付ける。同じ品目で違う価格を付けるわけだから、売れる売れないは生産者の自己責任だ。また、誰の出品を選ぶかは消費者の自己責任だ。
この直売所の一番の特徴は、生産者1人当たりの年間販売額が桁違いに高いことだ。平均800万円である。農水省の調査によると、全国の直売所1万6816店の平均は60万円である(2009年度実施調査)。年間60万円では生活できない。これに対し、「みずほ」は農業で食っていける販売額である。トップの農家は年間2700万円売り上げている(トマト農家)。
(注)全国の直売所数は、現在、道の駅を含めると約2万3000店といわれる。

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