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土門「辛」聞

再度佐賀タマネギべと病&グローバルGAPの限界


17年1月、福島に飛んだ進次郎は、風評被害に苦しむ福島の農業関係者にこう檄を飛ばしていた。
「福島県の農業の関係者のみなさんには、国際認証をとりましょうと言っています。東京五輪・パラリンピック(東京オリパラ)に向けて、食の調達基準が今年3月に決まります。国際認証やオーガニックがその基準の一つに入る。まだ国際認証を取得している農家は全国でも1割もいませんから、いま頑張れば福島県は、日本でいちばん国際認証を取得した農家のいる県になれます」(1月16日付け朝日新聞)
この話に飛び乗った福島県は5月15日に「ふくしま。GAPチャレンジ宣言」を公表。その認証取得の日本一を目指すというのだ。
進次郎が呼びかけたのは、「国際認証」取得だ。ドイツ・ケルンに本拠があるグローバルGAP事務局が展開する「国際認証」のことだ。ちなみに日本版のGAPもあるが、「国際認証」のエントリー版のような位置づけ。日本版GAPの認証取得農家は全農家126万戸のうち4113農場にすぎない。率にして、0.3%以下。確かに「1割以下」だが、進次郎が2桁も違う数字で煽っているのは、いただけない。
しかもその7割は、福島県とあまり縁のない茶農家だ。茶の栽培には、肥料と農薬が多く使われる。茶農家に集中するのは、環境汚染や残留農薬の問題が心配されるので、大手飲料メーカーがGAP取得を義務づけているのであろう。
それにしても進次郎のアジ演説はスゴイ。風評被害に苦しむ福島県の農家にグローバルGAPの認証取得を煽ったことだ。東京オリパラ開催期間中のたった2カ月のために『国際認証』を取得する農家がいたとしたら、よほど奇特な考えの持ち主だろう。看過できないのは、認証取得すれば、東京オリパラの選手村の食堂などから農畜産物の調達対象となるようなイメージを与えたことだ。

バラ色ではない
グローバルGAPの問題点

GAPに対する進次郎の思い入れで違和感を抱くのは、グローバルGAPを金科玉条のようにとらえていることだ。グローバルGAPは、ドイツ・ケルンに本部を置くEUREP GAPと呼ぶ民間組織が1997年に立ち上げたものだ。
97年というのは、EU単一市場がようやく形を整え、農産物の流通もEU域内だけでなく、トルコやモロッコなど非EU諸国にも拡がりつつあった。非EU諸国は、EUとは衛生観念も違う。もちろん衛生設備も遅れている。GAPは、そうした国々にドイツや英国の衛生水準に合わせてもらおうということから始まったものである。

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