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食品の衛生管理で顧客と自分を守る

小さなミスが惨事になりうる食品加工業と飲食業



Q3:義務化の対象事業者は?
A3:すべての食品事業者が対象。
解説:自分もHACCP義務化の対象なのか。たとえば漬物や惣菜など、簡単に加工したり調理したりしたものでも食品を扱っていれば、答えはイエスである。「フードチェーンを構成する食品事業者すべて」である。食品製造業や飲食店の営業許可を取得している事業者はもちろん、営業許可を取得しなければならない事業から外れていても対象である。また法人化していない個人事業者も対象である。

Q4:導入状況は?
A4:中小零細規模でも少しずつ導入が進む。
解説:農林水産省食料産業局の調査によると、2016年までにHACCPを導入している企業は全体の約3割。売上50億円以上の大規模経営の会社では約7~8割、1億~50億円の中小規模では約3割、1億円未満の零細規模では約2割(調査における回答数のなかでの割合)となっている。中小零細規模ではまだ少ないが、少しずつ導入が進んでいる。

Q5:小規模でも大規模企業と義務は同じ?
A5:基準Aと基準Bにレベル分けされる。
解説:すべての食品事業者が対象とされているものの、規模や事業の形態によって、事業者が果たす義務は2つの基準に分けられる。中小零細企業にも広く導入を促すためである。現在、基準Aと基準Bの線引きをどう決めるのか、検討されている段階である。
●基準A:対象者は大規模事業者。コーデックスHACCPの「7原則」(表3参照)の要件を満たすことが条件になる。
●基準B:対象者は小規模事業者。六次産業で加工・販売をしている事業者や、農家レストランを営む事業者も含まれる。また製造小売業と呼ばれるパン屋、豆腐屋、和菓子屋など、店内で商品をつくり、その場で個人客に販売する事業者が含まれる。HACCPの考え方に基づいて食品衛生管理を実施するが、基準Aと比べて運用が柔軟である。たとえば、基準Aでは1製品ごとに衛生管理計画を作成しなければならないが、基準Bでは事業全体の衛生管理計画を作成するだけでよいなど、負担が軽くなっている。

Q6:認証取得も義務?
A6:義務ではない。
解説:義務化によって、基準A、基準Bいずれの対象事業者もHACCP認証取得が義務になることはない。ただし、HACCPを導入しているということを証明するための認証制度は存在する。コーデックスHACCPのほか、独自の基準の認証を持つ業界団体もある。基準Aの対象事業者については、保健所の監視の効率化のため、既存の認証であるISO22000、FSSC22000、JFSなどもHACCP認証と同等とみなされる。もちろん認証を取得するに越したことはないが、認証審査登録費から認証後の中間審査、コンサルタントに依頼すればコンサルタント費用もかかる。事業の規模や内容にもよるが、合わせると年間で数十万~数百万円になる。

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