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【新・農業経営者ルポ】
本農業法人協会初代副会長とその懐刀が作り上げたオール秋田ビジネス
- 代表取締役社長 (株)秋田ニューバイオファーム 鈴木幸夫
- 第160回 2017年11月02日
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観光農園に関しては、会社設立の10周年記念事業としてテーマパークを作れないかと検討したことがきっかけだった。齋藤には20数カ国への渡航経験があり、各国の香りにまつわる文化を調べていたところ、園名に冠したハーブは健康に役立つ植物だとわかる。冬に強い植物ということもあり、寒冷地の秋田で四季を通した観光農園を運営していくのに好都合だと見込んでの選択だった。ター
ゲットは女性とし、より魅力的に感じてもらえるよう色とりどりの花も植栽していった。現在では約250種類を数えるまでになっている。
計画中の91年に件の台風災害に見舞われるが、復旧にとどめるのではなく、観光農園の実現はもちろん、拡大に向けて舵を切る。いずれも地場産の原料を使用し、94年にりんごジュースの製造を開始したほか、翌95年にはソフトクリーム専門店を道の駅に開店している。
しかし、観光農園も順風満帆の船出とはならなかった。屋外と鉄骨ハウス1棟をハーブで埋め尽くしたものの、冬になれば屋外は雪に閉ざされてしまう。鉄骨ハウス1棟ではさすがに来客は期待できない。
「お客さんより従業員のほうが多い日もあったけど、3、4年は冬場も営業したんだよね(注:現在の開園期間は3月中旬~11月3日)。積雪地帯の方は冬場は動かないもんな。俺が嫌だもん」
経営的な問題もあり、ここから農産加工へのウエイトを一段と高めていく。それは雇用を維持するうえでも必要不可欠なことだった。その延長線上で事業間の繁閑を埋めてきたところ、現在のような姿になったというわけだ。
冒頭で齋藤は秋田県農業法人協会の初代会長だと触れた。それから後に誕生したのが日本農業法人協会だが、この初代副会長も務めている。その縁で国内の農業視察も多数経験してきた。行けばアイデアが湧き、自身のところでもやってみようとなるものだろう。その一つにブドウの栽培がある。01年ごろからミニトマトを取りやめ、鉄骨ハウス2棟でブドウを生産している。肝心の栽培技術はまったくなかった。
「やるべって話だよ(笑)。県内では内陸のほうが果樹地帯なんだけど、聞くとすればそこしかいない。その内陸の生産者に声をかけ、教えてほしいので一緒にやりましょうってことで、毎週のように来てもらって勉強会を開きながら技術を習得していった流れだね」
鈴木は07年に社長に就任すると、同年にまず観光農園の入園料を無料化した(注:05年に(株)秋田ニューバイオファームに組織変更。齋藤は07年に会長に就くまでの2年間、社長だった)。それ以外の新事業を列挙すると、せっけん製造「Handmade Guild」(04年)、岩盤温浴(05年)、道の駅内レストラン(07年)、どぶろく醸造(09年)、菜種油搾油(10年)、秋田県東京アンテナショップ運営受託(同)、由利本荘市公的施設内レストラン(11年)、東京営業所開設(14年)、ハーブワールドAKITA20周年記念ムック本発刊(15年)、県内2大学との共同プロジェクトで観光農園内に遊技場設置と、毎年のように何かを仕掛けてきた。
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鈴木幸夫 スズキユキオ
代表取締役社長
(株)秋田ニューバイオファーム
1952年、秋田県西目町(現・由利本荘市)生まれ。秋田県立西目農業(現・西目)高校卒業後、実家で就農。87年、(農)秋田ニューバイオファーム入社。07年、(株)秋田ニューバイオファームの代表取締役社長就任。11年から由利地域観光振興会会長も兼務する。
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