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スマート・テロワール通信

スマート・テロワールの中核システムは豚肉の加工品づくり

スマート・テロワールとは中核となる地方都市と農村からなる自給圏の構想である。 そのコンセプトはサステナビリティ(持続可能性)を目指し、 「田畑輪換を畑作輪作へ転換する」「地域に女性の職場の食品加工場をつくる」 「住民の地元愛で地元産の食品を応援する」という3つに取り組むこと。 実現すれば、21世紀の社会において農村が最も元気になる。

スマート・テロワールの
中核システムは豚肉の加工品づくり

豚肉の自給率は5%しかない。国内の豚肉加工品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)の多くは、輸入豚肉を原料としている。最近では、加工品用に熱処理したり塩分を加えたりという1次加工をした調製品の輸入量も増えてきている。飼養戸数が1991年からの5年間で半減したのは85年のプラザ合意で対ドル円レートが2倍になったこと、つまり豚肉の輸入原価が半減したことによる。
そこで、スマート・テロワールでは、畜肉コストの7割を占める飼料を3分の1にする仮説を提案している。その方法は、飼料をタダで調達し、畑作農家と畜産農家の間を「互酬」関係で結び、堆肥センターや移動に要するコストだけにすることが中心課題である。加工用の畑作穀物は地域内の加工場と契約栽培で行ない、規格外の作物と加工残渣が出る。それらを畜産の飼料として無償で提供し、代わりに畑作には堆肥を無償で提供するというものだ。現在、山形と長野でこの仮説の実証試験をしている。
放牧にすればさらにコストが下がる。養豚家によると放牧豚は豚舎で飼うよりも病気になりにくいという。
スマート・テロワールで飼料原価にこだわるのは、欧州の農業システムではもともと飼料の原価は「タダ」だからである。9世紀には三圃式農法が確立し、1戸の農家の中で穀物生産と畜肉生産は同居していた。日本の畜産農家は主として米国から輸入されるトウモロコシを主体とした配合飼料を購入しているので、競争にならない。
地域内で穀物の栽培を進めて加工場を復興し、規格外品を飼料として提供できれば、畜産業と穀物生産と両面で自給力を高めることに貢献する。さらに美味しいハムソーセージやベーコンをつくることによって、農村の美食革命を推進できる。

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