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特集

持続可能な農業・農村へ


個体数が増えた要因のひとつに、エゾシカの天敵であるエゾオオカミを人間が絶滅させてしまったことがある。つまり、人間がオオカミの代わりを務めなければならない。一方で、捕獲しすぎて生態系を壊してもいけない。
獣害対策の先には保護管理が必要だ。さらに、食肉として有効活用する
こともできる。その取り組みが始まったきっかけは欧州視察にあった。
97年、北海道大学名誉教授の大泰司紀之先生を団長とし、道庁や市町村などの行政担当者、研究者らの欧州視察があった。それに私と社員の井田宏之も同行し、捕獲から有効活用までを視察した。スコットランドには、鹿の管理全体をコーディネートする「アカシカ協会」があることや、欧州では鹿肉が高級食材として有効活用されていることを学んだ。
参加メンバーは滞在中、鹿肉有効活用の原稿を書き上げ、『エゾシカを食卓へ』という一冊にまとめた。帰国後、日本でも「アカシカ協会」のような協会をつくろうという話が持ち上がり、99年、「エゾシカ協会」(任意団体、後に社団法人)が設立された。大泰司先生を会長に迎え、視察に同行した井田が事務局長に就任した。
協会が取り組んできたエゾシカ肉の衛生管理のマニュアル作成や認証制度は、じつに画期的なことだった。
こうして、エゾシカ問題は獣害対策から始まり、有効活用にまで広がっ
ていった。次に目指すところは、生態系まで視野に入れた野生動物と人間との共生である。野生動物は、家畜と同じ動物性たんぱく質だ。もっと言えば、生態系の循環のなかで健康に育った野生動物は、畜産の目指す究極の動物の姿でもあると思う。

【多様な人材を受け入れ持続可能な農村へ】

農業を変えるには、農村を変えなければならない。それが移住者を受け入れようと考えたきっかけである。
ニュージーランド式放牧に取り組み始める人もいる一方で、やはり離農者は増え、農村の人口も減っている。私は悩んだ。自分がやっていることは、本当に農業の変革になるのだろうか。
そんなとき、びっくりドンキーの創業者がニュージーランド式放牧に関心を持ち、勉強会の支援を申し入れてくれた。それが全国の人に放牧から加工までを学んでもらう「グラスファーミングスクール」を始めるきっかけとなった。加工業や外食産業と関わってみると、農業は、農業だけでは変えられないと感じた。米国の穀物戦略を含めた社会の構造のなかに組み込まれているからである。例えば、外食産業は約20兆円、仕入れは約8兆円、うち約4兆円は輸入食材である。4兆円と言えば、北海道の農業の売り上げの約4倍である。農業を変えるには、加工や飲食とも組まなければならないと考えた。

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