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特集

持続可能な農業・農村へ


「大きいことが安定した経営というわけではない。一生できる仕事がしたい。農業はなくなることがないから、やはり農業をやろう。自分がマイナスのイメージを感じているなら、自分の手で魅力的な牧場に変えていけばよいことだ」
魅力ある牧場をつくるために、選んだのが放牧だった。大学卒業後の1994年、まず放牧を実地で学ぶために、浜頓別町の池田邦雄氏や、別海町の今井真人氏など、放牧を取り入れている先輩たちの下で修業した。さらに、在学中に知り合った小谷氏の紹介で、ニュージーランドやオーストラリアでも2~3カ月の実習を積んだ後、実家の牧場に戻り、放牧を始めた。

【放牧と加工・販売は安定経営を持続させる手段】

新村氏は、大企業の倒産を見た経験から、経営は必ずしも大きくなくてもよいと考えてきた。家族が生活していくために必要な利益を考え、そのために必要な手段や規模を選ぶというスタンスだ。安定した経営を将来にわたって持続させる手段として、放牧と加工・販売を経営に取り入れた。
放牧のメリットは、主に次の3つである。
(1)為替や世界情勢で価格が変動する化石燃料への依存度を下げることができる。牛にできることは牛にやってもらうことにより、飼料の収穫作業や糞尿散布の機械作業が大幅に減る。つまりトラクターを動かす化石燃料を減らせる。
(2)為替や世界動向で変動する輸入穀物への依存度を下げることができる。牛の健康を維持するためには、栄養価を計算し、草と穀物をバランス良く与える必要がある。しかし、放牧の場合は、夏季は牧区のローテーションによって草の栄養価が高く保たれるため、穀物で補う栄養価を減らすことができる。
(3)放牧によって、健康的でイメージの良い商品を提供できる。健康な牛が育てば、その牛から生まれる商品は人の健康にも良い。また、北海道の雄大な自然を背景に、草地で牛が放し飼いにされている風景は、人々がイメージする牧場らしい牧場の姿であり、そこで生まれる商品はイメージが良い。
加工・販売をするメリットは、自分で価格決定できることである。生乳生産から加工・販売までトータルで手掛ければ、放牧ならではの価値を、加工した最終商品に反映させることができる。価格決定までできる自立した経営ができれば、補助金や助成金への依存度を下げることにもつながる。
「化石燃料、穀物、助成金などの不確定要素の影響を受けなければ、安定した経営を持続することができます。そのための手段が放牧であり、加工・販売なのです」

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