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江刺の稲

北朝鮮有事で農水予算査定は厳しくなる

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第258回 2017年11月02日

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前号でも紹介したが、子実トウモロコシが農水省の政策テーマとして取り上げられるようになり、平成30年度の予算要求にも子実トウモロコシの増産に向けた内容が盛り込まれた。低コスト栽培技術等の普及推進、機械施設への導入支援補助を含めた生産・利用体制構築などである。
しかし、予算要求を担当する関係者の話では、財務省の対応は例年になく厳しいという。子実トウモロコシの生産拡大は将来のコメ生産調整関連の予算を減らすことにもつながるわけだから、飼料米関連予算を減らしても子実トウモロコシ関連の予算を増やすべきと主張するのが妥当と僕は担当官に話した。もっとも、現在の政治状況を考えれば、僕の意見はいわゆる政治的リアリズムが無いということで農水省としてはとてもできる話ではないのだろう。さらに、今回の予算要求は農水省畜産部の「国産飼料増産対策のうち国産濃厚飼料生産利用」というテーマであり、国産飼料の増産が目的のものである。
我々が主張してきたのは、今後想定される水田農地の大量な供給に対する水田農家の経営リスクの小さい転作作物としての子実トウモロコシ生産であり、とりわけNon-GMトウモロコシを作ろうというものだ。そして、その需要先として飼料仕向けだけでなく、食品分野が期待できることを主張してきた。我が国では1200万~1600万tのトウモロコシを輸入しているが、そのうち約150万tはNon-GMトウモロコシなのである。そのマーケットこそ我々が狙うものである。また、遺伝子組み換えに反発する消費者とは「国産」というキーワードにも親和性があると考えるからだ。それなら、畜産物だけでなく、菓子をはじめとするさまざまな食品や飲料分野でも大きな需要が期待できる。現実に、北海道の柳原孝二氏の生産グループでは、ポッカサッポロフード&ビバレッジが商品化したトウモロコシ茶に原料を供給しており、今年から全国販売が始まった。これ以外にもシリアルや菓子類にも供給している。こうした商品化が進むことでこそさらなる需要を拡大させるのである。その意味で、飼料仕向けに限らぬ子実トウモロコシ生産の可能性の大きさを農水省はよく理解してほしい。

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