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今月の数字

3,184億円(糖質制限市場)

近年、テレビで「糖質制限」を謳う番組が増えてきた。先日も「焼肉だけ食べるダイエットにより2週間で5キロ痩せる」という内容が放映された。既存のアンケート調査でも7~8割は糖質制限に興味があり、5~6人に1人は糖質制限を行なったことがあるという。白飯が目の敵にされるようでは消費減退への影響は無視できない。
米国医師会雑誌の掲載論文によれば、中国全人口の約11%が糖尿病患者で36%近くが発症一歩手前の予備軍の段階にあり、その比率はアメリカと同程度という。日本でも「糖尿病が強く疑われる」患者は人口の12.1%だ。糖尿病患者数が世界的な問題となるなか、2015年の「糖質オフ・ゼロ市場」は日本国内で3,184億円に達し、米飯には大きな逆風となっている。
日本食の歴史上、米食悪玉論は3回あった。1回目は、明治時代初期に流行し年間最大15,085人の死者を出した脚気の原因だ。当初、脚気の原因はタンパク質不足と考えられていた。海軍では米飯から麦食に切り替え1,200人を超える脚気患者を3年後に41人にまで減らすことに成功し、理論的な因果関係は間違っていたが、「麦飯を食べると脚気が減少する」ことを実証した。しかし、学術的な理論が不十分と批判され若い兵に不人気の麦食が無くなると、脚気患者は再び増加をたどった。明治後期に米ぬかに脚気を予防して快復させる成分(ビタミンB1。当時はオリザニン)が発見され、大正初期に脚気の原因は米(またはタンパク質不足)ではなく、ビタミン不足であることがやっと受け入れられた。

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