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土と施肥の基礎知識

緑肥のすすめ

1. 土づくりには欠かせない有機物

健康な土づくりには、化学肥料の活用が欠かせない。
しかし、化学肥料に頼りすぎて農地への有機物補給を怠ると、土壌中の微生物のえさが不足し、大切な腐植を食べられて地力が低下してしまう。また、有機物施用は団粒形成を促進し、土壌物理性の改善にも役立つ。そのため、有機物を補給することが土づくりの基本だが、有機質肥料や堆肥だけが有機物ではない。有機質肥料の施用量はせいぜい100kg/10a程度で、十分な有機物補給効果とはいえない。その点、施用量が数トン/10aにもおよぶ堆肥は有機物補給源として優れ、特に水田には最適の資材であるが、現状では施用量が激減して地力の低下を招いている。逆に野菜畑やハウスでは、家畜ふん堆肥などの過剰施用でリン酸やカリ過剰化、すなわち土のメタボ化が進んでいる。そこで、緑肥が見直されつつある。
かつて、緑肥といえば、ハウス内で野菜や花卉を収穫した後にソルゴーなどを播種し、大きく育ったら刈り取ってハウスの外に持ち出す除塩対策として行なわれてきた。夏にそのような作業を行なう農家にとってはたいへんな重労働で、持ち出した緑肥の処分もたいへんだ。そして、その後に次作のための準備が始まり、先ずは土づくりの決め手として堆肥を施用する。さらには、JAや肥料商から肥料を購入して施用していたのでは、土のメタボは解消されず「肥料屋のための緑肥」になり果ててしまう。
土がメタボ化したハウスでは、土壌診断分析結果に基づいて化学肥料単肥を活用し、有機物補給源として緑肥を栽培して、そこに鋤き込む。野菜や花卉土壌の全てがメタボというわけではない。リン酸やカリが欠乏する畑やハウスでは、家畜ふん堆肥を格安肥料として活用し、それだけでは不足する有機物を緑肥で補うことがよい。

2. 緑肥の養分回収効果

稲や麦などの畑作物と違い野菜栽培では生育途中で収穫するので収穫後には土壌中に養分の残留が避けられない。そのお余りを頂戴するのが緑肥だ。表1に、緑肥が吸収した三要素量を示す。
浜松のセルリー収穫後のソルゴーでは、播種後40日ほどで草丈2.4mに達した。生草収量は6.9t/10aで、三要素吸収量は表1のように窒素約30kg/10a、カリは約50kg/10aにも達した。長野県南佐久郡の高原野菜後のライムギでは、窒素とカリを約20kg/10a吸収した。リン酸吸収量は窒素・カリより少なく5~10kg/10aであった。

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