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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農業経営の継承・相続の考え方

貸家と唐様で書く三代目

昨今、「終活」という言葉が巷で聞かれるようになった。かつては相続の話をすると不謹慎だと思われていたが、経営者ならばとくに多かれ少なかれ悩むところであろう。代々受け継いできた家業を続けたい、続けてほしいと願う気持ちは、経営者の誰しもが考えることである。誰に相続するのかという後継者問題は農業に限らず、育てるなり発掘して連れてくるなり、慎重に取り組まねばならない。そして、もう一つ重要なのは、資産の相続・贈与と税金は切り離せない関係にあるということである。
世間では三代目はとかく周りから心配される立場にある。わかりやすいところでは、身代を潰すとか、学者に二代なしとか、長者に三代伝わらずなどの諺で伝えられてきた。なかでも「貸家と唐様で書く三代目」は、初代、二代目が苦労して商いを発展させて財産を残しても、三代目にもなると没落してしまうという意味の諺である。唐様とは中国風の意で洒落た文字のこと。遊興にふけって商いを真面目にしない三代目が、とうとう困窮して、流行の洒落た文字で「家(住居)を売ります」と書いたという逸話を皮肉っている。
このエピソードを少し現代風に想像してみたい。設定はこうだ。商売を興した一代目が苦労して経営を軌道に乗せる。父の背中を見て跡を継いだ二代目は、ひたむきに頑張る。その結果、築き上げた資産は約1億円。三代目に経営移譲してから、悲しくも二代目の父が亡くなったとすると、三代目が置かれる状況はどうなるか――。相続人数、遺産の算定方法、控除の対象は事情によって異なるが、1億円超えの資産があれば、相続税は累進課税方式なので40%を納めなければならない。多額の税金を現金で用意できないと、家業を一括して財産や会社を引き受けても、資産を売り飛ばす羽目になる。とくに怠けるわけでなくても、采配を間違えば、経営状況を左右する事態になりかねないというわけだ。
しかし、考えようによっては、三代目にはさらなる発展のチャンスがあるはずだ。自己資金があり、先代から付き合いのある得意先や生産技術という経営基盤があり、ゼロからスタートした新規開業者より環境は整っているのだから。よく経営や事業では、守りに走ってはいけないといわれるが、その真意は拡大志向で攻めることで、継承した財産も守れると理解してもいいだろう。
経営をどういう資産で残すのか。農業界に法人化の波が到来して久しいが、今回は個人経営と法人経営の違いという切り口から考えてみたい。あらかじめ断っておくが、私は税理士ではない。本稿を読んで相続について家族や仲間と揉めても、一切関知しないし、自己責任で対応されることをお願いしたい(笑)。

農業経営を法人化する
メリットとデメリット

新規就農などで農業の開業を考える際には、個人事業主として始めるケースが圧倒的に多い。しかし、これからの時代は大きく始めたいなら法人から始めるのも悪くはないと思う。また、現状は個人事業主だが、これから法人化するべきか悩んでいる人には、昨今は法人化するほうがメリットのほうが多いと伝えたい。

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