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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農業経営の継承・相続の考え方


かれこれ20年ほど前になるが、勤務していた農業改良普及センターで「農業法人指南書」という冊子を作成したことがある。きっかけは農水省が農業生産法人の支援を打ち出したことだ。当時の普及機関は個々の経営を支援することに消極的で、責任問題に発展するのを怖がってほとんどの普及員は手を出さなかった。そんな風潮のなかで私が農業法人の設立と運営支援をお手伝いするようになったのは、大学の恩師から、これからは経営規模がもっと大きくなるし、法人化は必然的に進むと説かれ、会計学を教えてもらっていたからである。当初は同僚からも反対や批判を受けたが、農水省の外郭団体が主催した発表会で局長賞に選ばれたころから、少し大きな顔ができるようになったと記憶している。それから数社の法人化を支援した後、知り得た知識を指南書として農業経営者に配布し、さらには経営データからNaviシステムという、法人向けの経営ソフトを開発するに至った。
その当時とは税務制度などが若干変わっているので、その点も踏まえて個人経営と法人経営の違いを整理しておこう(表1)。
はじめに、個人経営は法的な諸手続きが法人経営と比べて簡単である。
個人事業主でも青色申告をしていれば節税のメリットが得られるが、法人とは課税のしくみや税率は根拠法が異なるので、全く別物と考えてよい。一方の法人は手続きが複雑な代わりに、経営が大きくなれば節税や信用面でメリットが大きくなる。
詳しく比較すると、個人事業主には開業届を出すだけでなることができる。年に一度、1年間の事業の収支を計算し、「確定申告」することが義務づけられている。所得税額を計算するPCソフトや国税庁の様式に沿えば、自分で行なうことも容易であろう。個人事業主の確定申告では「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、青色申告は複式簿記で記帳しなければならない。義務を果たせば、その反面、税金の控除額を大きくとれる。青色申告をしたい場合は、「青色申告承認申請書」を提出すればよい。なお、白色申告は単式簿記という小遣い帳のような簡単な形式で、控除額はとくにない。
デメリットには、赤字になった場合に、個人事業主は3年までしか繰り越しができないことが挙げられる。法人なら、最長9年間繰り越しができる。経営が大きくなると、この違いは大きくなり、税金面でのメリットでも法人が優る。
一般的にも法人であることで、金融機関や販売先、仕入先などの取引先に対して信用が得られるといわれている。法人化して1年目の今年、私も実際に和牛の餌の取引やアスパラの販売、農協系以外の銀行や保険会社とのやりとりのなかで、有利に働くことを実感している。

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