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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農業経営の継承・相続の考え方


さらに、従業員やアルバイトを採用する際も、法人のほうが有利である。万が一の補償も、法人化していると労災、保険を受けやすく、イメージが良いといった間接的効果もあろう。ただし、労働三法適用の遵守が求められる昨今、社員にはよいが、法人の負担金額は増大する。年金機構や保険協会などは税務署と同様にきっちりと仕事をこなしてくれる。一度加入すると途中でリタイアはできないので、掛金の確保は絶対と思っておこう。
ちなみに「農業法人」は農業を営む法人の総称で、正確には会社法人と農事組合法人の2つの形態がある。農業法人のなかで、農地法第2条第3項の要件に適合したものを農地所有適格法人という。かつては農業生産法人と呼ばれていたが、2016年4月1日に施工された改正農地法により呼称が変わり、要件が緩和された。設立の手続き自体は、会社法に基づき一般の法人と同じで、設立後に要件を満たした上で、農地の取得申請を行なう。

法人経営の税法上のメリット

関心の高い事項なので、法人経営の税法上のメリットをもう少し説明しておこう(表2)。
事業所得に応じて支払額が変わるのが個人経営では所得税で、法人経営では法人税である。これらを比べると、法人税は累進課税の所得税より税率の伸びが低い(図1)。個人経営の場合は、収入から経費を差し引いた個人事業主の所得すべてに所得税がかかる。この所得税は、所得の大小に応じて段階的に税率が設定されており、所得が多くなればなるほど、高い税金を支払うことになる。
一方、法人にかかる法人税は、税率が二段階式で、課税所得が800万円以上でも税率は23.4%と所得税の最大45%には及ばない。事業所得がある程度あれば、個人事業から法人化したほうが節税になる。逆に、所得が少ない場合は、個人事業で継続するほうが税金は少なくて済む。したがって、新規就農者が開業時に、手間や費用がかからない個人事業で開業し、事業が順調に軌道に乗り、拡大していくなかで法人化するという形は理想的である。
税金から見た法人化のタイミングをまとめると、経営サイズが大きくなり、経営者の取り分である所得が大きくなったときが決断のときといえよう。ただし、法人の場合は、登記に際して定款作成などの費用がかさみ、面倒な手続きが増える。赤字でも必ず税金はかかる。これらは法人化のデメリットと整理できる。
現状、個人経営で1000万円を超える売り上げが見込まれる場合、あるいは大きな投資をする予定がある場合は、法人化を選ぶと有利である。法人は、設立するにも解散するにもお金がかかるので、雇用をしたり、ビジネスチャンスを広げたりして、大きく投資したいなら法人を選び、変化なく安定感を求めるなら、個人事業主のままでも良いと思う。

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