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土門「辛」聞

広告詐欺みたいな「GAPをめぐる情勢」文書

最初に断わっておくが、筆者はGAPの生産工程管理そのものに反対しているのではない。GAPの中身を読んでも、当たり前のことが書かれている。 反対するのは、その当たり前のことを実践するのに、書類を数多く作成させ、多額の認証費用を農家に負担させることだ。それでいて、売り先はとなると、安く買い叩かれるスーパーや外食チェーンなどだ。得をするのは、そうした費用を負担しない買い手と認証団体。農家には何のメリットもないのだ。
GAP、「農業生産工程管理」と訳す。工業製品なら、安全・衛生管理を対象にしたHACCPのようなものである。そのHACCPは、安全性と衛生管理だけを対象にしたもので、産業界では「品質を扱わない」という考え方が定着しているのに、農業界ではいまだにGAPが「品質認証」のツールと思われている。

「GAP=品質認証」という誤解

面白いエピソードがある。GAPに取り組んだ生産者が、GAPマークの使用についての許諾を、日本GAP協会に立てたところ、協会から拒否されてしまった。当然、その生産者からすれば、GAPマークをつければ、高く売ることができると思って高い認証費用を払ってGAPをやったのに、マークをつけられないのは、おかしいというクレームだった。これはGAPのことを鵜呑みして取り組んだことによる誤解だ。GAPの目的を理解していないことを示すエピソードである。日本GAP協会の正式見解は、これ。
「JGAPマークは消費者向け農産物ブランドではなく、その農産物を生産した農場・団体が導入している経営管理の手法を伝えるものです」
GAPに取り組めば、農産物を高く買ってもらえるようなイメージをふりまいてきたのは、何を隠そう、農水省だ。GAP混乱の諸悪の根源だ。れっきとした証拠は、生産局農業環境対策課が、17年9月に公表した「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」なる文書にもある。
「高品質商品へのニーズ」
「品質―付加的価値」
表紙をめくると、すぐ目に飛び込んでくるキャッチコピーだ。この文書は、各地で開かれるGAPの説明会などで広く配布されている。これこそGAP普及の限界を示す格好のエピソード。広告詐欺に近い。農水省が広告詐欺を平気でやる動機に興味が沸いてきた。

東京オリパラだけではGAP取得に動かない

笑ってしまうのは、20年東京オリパラ作戦。与党提言をまとめた、あの進次郎こと小泉進次郎議員(前自民党農林部会長)が、ものに取り憑かれたように煽っていた。3月17日付け産経新聞からの引用だ。
「国際認証の中で最も普及しているのがGLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)です。国内で国際認証を取得している農家は1%もないため、自国で開催されるオリンピック・パラリンピック(東京オリパラ)であるにも関わらず、国産の農産物がほとんど提供されない状況に陥りかねないのです。そのために私は、グローバルギャップの取得の後押しをしなければと考えています」
東京オリパラ期間中、選手村などで使われる食材は、グローバルGAP取得農家が生産したものに限るということが決まった。進次郎は、それを売り物にグローバルGAPの取得を呼びかけた。これには裏話があって、最初、東京オリパラ組織委員会は、有機農産物を対象にしていたが、これに応じる生産者が少なく、窮余の一策で農水省はグローバルGAPを持ち出してきたのだ。

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