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それにしても東京オリパラの開催期間は、たったの2カ月だ。そのためにグローバルGAPを取得する奇特な農家がいるだろうか。常識で考えれば、すぐ分かる話を進次郎はすぐに口にしてしまう。この政治家は、思考回路を母親の胎内に置き忘れてきたとしか思えない。
グローバルGAP売り先は
ディスカウントスーパー
農水省でGAPを担当するのは、生産局農業環境対策課。生産工程管理ということから、この課の出番となったようだ。キャップは及川仁課長。東大農学部卒のとても優秀な技官だ。嫌な質問にも「感謝です」と言葉を添えてくれる。忙しい中での丁寧な応対には、逆に「こちらこそ感謝」と、この紙面を借りて伝えたい。
それはさておき先に指摘した農水省の「広告詐欺」と進次郎発言の問題点を及川課長に質してみた。
まず「GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢」文書で「高品質商品へのニーズ」「品質―付加的価値」という表現は、GAPの本旨とは違う。生産者に誤解を与える表現だ。という指摘には、うーんと絶句しながら、意味不明なことをつぶやくだけ。手替え品替えで追及しても、絶句を繰り返すだけ。
追及の切り口を変えてみた。GAP発祥の地、ドイツの実例を示してやった。
ドイツ・ケルンに本拠があるグローバルGAPのホームページにGAP採用企業の一覧表がある。19カ国のスーパー、外食チェーンなど48企業がグローバルGAPを採用していることは、前月号で述べたとおりである。
ポイントは、英国とドイツのスーパーで、高級スーパーかどうかをチェックすることだ。端的にいえば、グローバルGAPの認証を取得しても、売り先があるかどうかということだ。
一覧表に目を通しての率直な感想は、米国ならコストコ、日本なら業務スーパーのような業態が大半。つまり低価格志向の商品を扱うディスカウント・スーパーが圧倒的に多い。及川課長に、その旨を指摘したうえで、感想を聞いてみたら、「業務スーパーは、私も使っています」と仰天告白。この発言に噛みついてしまった。
「あなたは、ことあるごとにご自身で『小役人』と謙遜しておられるが、あなたにはわれわれの税金から千数百万円の給与を払っているはずですよ。われわれ納税者は、『小役人』にそれだけの給与を払っているつもりはありません。給与に相応しい仕事は十分になさっていることは認めますが、それだけの給与をもらっているのに、業務スーパーで日常の買い物をなさるとは……」
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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