記事閲覧
他の2社のB社はイオン、C社はイトーヨーカ堂だ。わが国スーパー業界のツートップである。なぜか及川課長、イオンの広報マンになったかのように、イオンは「2020年までにプライベートブランド農産物は、国際承認を受けたGAP認証の取得100%を目指す」と説明してきたので、その矛盾を突いてやった。
「プライベートブランドに、GAP認証の取得を義務づけるというのは、GAPを使って『品質―付加的価値』をアピールする商品の差別化戦略のことで、GAP本来の趣旨にもとるものだ。そんなことよりイオンが真っ先に取り組むべきことは、中国からの農産品に対し、輸入先の農場にGAPを義務づけることだ。スーパー業界トップが、このような説明をして歩くから、現場で混乱が起きるのだ。イオンほどGAPを広告ツールに使ってきた会社はない。それを優良事例と紹介しているわけだから、GAP普及の先行きは早くも先が見えたということかな」
GAPの実践で主導権を発揮すべきは、イオンやイトーヨーカ堂などの
流通サイドだ。その彼らが、本来の役割を発揮しなければ、GAPは一歩も前へ進まないのだ。あるいは、彼ら
こそGAPの限界を知り抜いているからこそ、GAP普及の前線に立ってこなかったという見方もできる。
次号も及川課長に登場を願ってGAP話だ。
佐賀タマネギべと病
読者からの疑問に答える
ベと病を取り上げた拙稿(本年9・10月号)で、元農薬メーカー社員で、技術士(農業部門植物保護)と名乗る方から、「べと病の農薬にカエルが死んでしまうことはありません」とクレームを受けた。佐賀の白石平野の集荷商から聞いた話を紹介したものだが、カエルが死んだ原因についてベと病に使う殺菌剤とは言及していない点に留意いただきたい。「妙な話を聞いた」と前置きしたのはそのためだ。
その「妙な話」が現場で流布する背景は、その後の取材で何となく想像ができた。ベと病発生の確認が遅れ、佐賀県は有効な防除対策を打ち出すことができなかった。被害が急拡大して途方に暮れた農家が幾種類もの農薬をかけていたことは、JAさがの農薬販売額から容易に確認できた。それとタマネギ農家は、ベと病殺菌剤を使用する際、害虫駆除(ネギアザミウマ)に殺虫剤を混合して使用することもある。「妙な話」の根源は、ベと病が発生しても適正な農薬使用を農家に伝えなかった佐賀県の怠慢にある。
それと「メタラキシル」についてもクレームがあった。「成分量と使用濃度に説得力がない」という指摘だが、圃場で使用される時点での有効成分量と使用濃度をかければ、記事のとおりであることがお分かりいただけよう。
会員の方はここからログイン
土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)