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調べてみると脱穀系の部品が破損しているようだ。とりあえず走行系は無事なので自走して農場の倉庫に戻った。オペレーターが「何か食い込んだようだ」と言った。数百年も埋設された木がコンバインに入って内部を破損させた様子だった。LEDライトで各部を点検すると状況の悲惨具合が襲ってきた。フィーダーハウス・チェーン損壊、シリンダー部分の破損、後方の選別部分の破損、その外側の壁も破損、シリンダーベルト、走行ケーブル。農場スタッフはこれで今シーズンは終了だ、と思ったらしいが、私は平常心だった。
なぜか? 破損した95%の部品を持っていたのだ。15年前にコンバインを購入したときに予備部品も購入していた。どの部品が必要なのかは過去の2台のコンバイン運用から分かっていたし、特に日本で購入できない部品購入の優先度は高かった。農場スタッフは私が淡々と壊れた部品の確認をしていることに疑問を持っていたようだ。倉庫奥の部品棚から15年ぶりに部品を取り上げ、みんなの所に戻りこう言った。「この部品を使うから」。その時の農場スタッフの驚いた顔が今でも忘れられない。
困るのはメーカーではなく生産者自身
故障した日は部品をバラし、雨の翌日は予備で持っていた部品取り付けと簡易な修理を行なった。その次の日からは何事もなかったかのように今まで通りに作業を続行した。部品交換しているときにあることに気付いた。「車両保険に入っていたかな……」。地元のJA共済に電話した。
電話口の女性の回答は「○○○万円分まで大丈夫ですよ」。マジっすか? 今まで15年間になんだかんだで、150万円の掛け金で○○○万円か~、ありがたい話だ。JA共済さま、対応に感謝いたします。
コンバイン購入は今の最新型では5000万円から8000万円になる。と言っても旧式のモデルが半値で販売しているわけではないので、やはり住宅一軒分の価格になる。メーカーによっては部品供給、整備士の腕は良いが生産者自らが整備するのは難しかったり、部品供給は悪いが生産者が整備しやすかったり、サービス体制が悪い農業用ベンツ製エンジンのコンバインもある。
エンジンオイル交換や油圧オイル交換ができない者は論外だが、ある程度の予備部品を持たなくて困るのはメーカーではなく生産者自身である。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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