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【特集】
「ルポ」に登場したあの人はいま(3)
- 編集部
- 2017年12月04日
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茶
有機栽培を活かす
多様な茶づくり
八蔵園 鈴木 猛史氏 (静岡県浜松市)
減少傾向をたどる茶の生産量。「やぶきた」時代から多様化へとマーケットも変わりつつある。そんななかで有機栽培のメリットを活かしながら、海外需要の掘り起こしも図ってきた。
鈴木猛史氏が「新・農業経営者ルポ」に登場したのは、2004年のことである。「うまみ」のある茶が製茶メーカーに評価され、父や地域の共同組合と一緒に「有機栽培煎茶」のブランドを立ち上げたころだ。当時は、組合のメンバーのなかでも「最年少」だった鈴木氏も、「うちの若い衆が」と口にする年齢になった。若いころには失敗も多かったと言うが、いまでは有機栽培の難しさも克服し、安定した栽培ができる技術力を身につけた。
有機栽培の難しさは、農薬を使わずに病害虫を防ぎながら、どう品質を保つかにある。農薬を使わない有機栽培では、二番茶の摘み取りの後、病害虫の発生のタイミングをずらすため、やや深めに刈り落としをする。つまり、本来は活発に光合成をして樹に栄養を蓄えてくれるはずの若い葉を切り落としてしまう。そのため、どうしても茶樹に負担がかかり、茶葉の品質に影響する。
有機栽培を追求すると、つい有機栽培そのものを優先してしまうことがある。すると、慣行栽培よりも品質が劣ってしまいがちだ。顧客が見るのも品質である。
鈴木氏は、有機栽培を謳うだけではなく、慣行栽培の茶に負けない品質を目指してきた。そのために、成分分析でも他に引けをとらず、かつ、アミノ酸による「うまみ」を生み出す栽培技術を身につけた。
その技術のポイントは、二番茶後の刈り落としのタイミングと、刈る位置なのだという。充実した芽が伸びるように葉を残しながら刈る。そのためには、前年に刈る位置を用意しておく。その後、8月に伸びてくる葉は、病害虫の被害を免れ、翌年、一番茶の親の葉になる。この繰り返しが、毎年、一番茶をしっかり収穫するための土台となる。
嗜好品である茶の良し悪しは、一般的に、味、香り、色と言われるが、その好みは人それぞれである。一方、客観的な茶の良し悪しは、成分分析ではじき出される全窒素含量と中性デタ―ジェント繊維(NDF)の数字で決まる。
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