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今月の数字

3割(全産業平均と比べた農林水産業の労働生産性)

農繁期を過ぎると、会議や研修が多くなる。今後の事業連携の打ち合わせや設備投資のための申請資料作成に費やすこともあるだろう。農業経営にとって、生産以外に費やす時間は意外と多い。
最近、「働き方改革」に関連して「生産性向上」も再び叫ばれるようになっている。混同しがちだが、「生産性=効率性」ではない。生産性とは、投入したものに対し、どれだけ産出があったかをいう。産出は付加価値額で測られることが多く、「営業利益+人件費+減価償却費」で計算される。効率性は「これまでと同じ産出に対してどれだけ低い投入でできるか」を示しているのに対して、生産性は割り算の分子となる産出の向上も示している。
割り算の分母となる投入については、いろいろな経営資源で計算する。「ヒト」なら労働生産性、「カネ」なら資本生産性、「モノ」なら土地生産性といった具合だ。どの要素を分母とするかは、経営資源のうちどの要素がより制約を受けているかで異なる。農地の集約や規模拡大が難しい時代は土地生産性が重要な指標となり、採算度外視で自らの労働を投下してでも収量を上げるという行動が取られた。労働力の単価が高くなれば農業機械を導入して労働生産性を上げたが、農業機械が十分に稼働しなければ収益性は改善しなかった。このような場合、本当に必要なのは投下した設備等の資本生産性を見ることだが、日本農業の設備投資の大半は補助金による資金調達で賄われていることもあり、資本生産性が重視されることは少なかった。生産性を評価する場合、労働だけでなく資本も含めた全生産性の視点が必要である。

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