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労働基準監督署の仕事
調査を行なう労働基準監督署とは、事業者が労働基準法(労基法)や労働安全衛生法(労安法)、労働者災害補償保険法(労災保険法)など労働者を守るための法令を遵守しているか監督、指導する行政機関です。
労働基準監督署の労働基準監督官は、労基法違反の有無を調査する目的で事業場に立入調査する権限があります(労基法第101条第1項)。そして違法状態が確認されると事業主に対し是正勧告が行なわれ、監督官から指示された期限までに違法実態を是正し、かつ是正報告書を提出することが義務づけられています。
監督官が事業場を監督する目的は、事業場における「雇用・賃金・安全・健康」が確保されているかどうかのチェックです。
監督官から是正勧告を受けるような事態は避けたいものです。そうならないためのチェックリストを45ページに掲げておきました。職場環境づくりに役立ててください。
労働基準監督署は何を調べるか ?
【農業でも適用される労基法規定】
最近、働き方改革を政府が推進していますが、労働判例をみると安全配慮義務違反を会社側に問う事例が大変増えています。労災事故、 うつ病などの精神疾患、過労死や自殺、パワハラや職場のいじめ問題など職場環境に関わることばかりです。そんななかで労働基準監督署という行政機関が注目されるようになりました。
農業の場合、労働基準法が一部適用除外のため、農業は関係ないと誤解される恐れもありますので、注意してください。例えば農業は「労働時間・休日・休憩」の規定は適用除外とされていますので、所定労働時間を超えて労働させた部分に対して割増賃金の支払いは不要ですが、通常の賃金の支払いはもちろん必要ですし、年次有給休暇も除外されていません。加工や直売所等の事業所を有している場合は、事業の実態で判断されますので、労働時間についても、適用となります。
深夜労働(22~5時)の規定については農業においても適用除外はされません。したがってこの時間の労働に対しては法定の割増賃金(25%以上)の支払いが必要です。また外国人実習生の場合は労基法が全面適用ですので、時間外がある場合は、割増賃金の支払いや36協定の従業員との締結が必要になります。
【監督官は4種類の調査を行なう】
(1)定期監督
最も一般的な調査です。労働基準監督官が任意に事業所を選び、法令全般にわたって調査します。原則は予告なしでも調査できますが、多くは事前に調査日程を連絡してから来ます。
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矢萩大輔 ヤハギダイスケ
(有)人事・労務
代表取締役
大手ゼネコン勤務後、1995年に社会保険労務士として都内最年少で開業。起業支援ポータルサイト「ドリームゲート」アドバイザーとして新規就農にも相談に乗っている。農業を通したリーダーシップ研修の場として自社農園「アルパカファーム」を運営。八戸農業ビジネスナイトセミナーや、FM東京「あぐりずむ」の出演プロデュースなども。著書『脱家族経営!若者に魅力ある農業経営のレシピを教えます。』ほか。
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