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土門「辛」聞

農水GAP普及事業の裏事情に迫る


同課が日本コカ・コーラを模範例として取り上げたのは、「現在、茶の原料調達にGAP認証の取得を要求」という理由だった。同社は、ペットボトル茶「綾鷹」の生産を静岡県島田市のハラダ製茶に委託していることは、前月号で紹介した通りである。従って、ここはそのハラダ製茶の取り組み事例を検討してみることが必要だ。
ハラダ製茶が生産者に求めているGAPは、国際水準、つまりグローバルGAPではなく、JGAPだ。ただ自社農園2農場は、グローバルGAPの認証を取得しているが、その面積は70 ha程度。同社に原料となる茶葉を供給する農家の合計面積3771ha(17年2月現在)の1.8%にすぎない。これをもって「国際水準のGAP認証取得を求める動き」の模範例とはならない。
そのハラダ製茶のGAP取り組みについて前月号で好意的に評価したが、その後の取材でそれを取り消したい。地元肥料商に代弁してもらう。
「静岡の茶産地はまったく元気がありません。機械化の進んだ鹿児島産に価格では勝てないからです。そのあおりを受けて茶農協や茶組合の解散も相次いでいます。茶の売り先が細ってきたということです。その中で地元大手のハラダ製茶だけがひとり勝ちの状態。分かりやすく説明すると、ハラダ製茶にとっての買い手市場。GAPをハラダ製茶からやれと言われれば、農家はそれに従うしかありません。農家は茶葉を安く買い叩かれた上、認証料など費用の負担に泣く泣く応じている状況です。最近ではそんな状況に嫌気を出して茶生産をやめる農家が相次いでいるようですよ」
ちなみに日本コカ・コーラの親会社には、同社オリジナルのSAGP(持続可能な農業の指針)がある。残念ながら、ドイツのFood Plus GmbH社が運営するグローバルGAP(GLOBALG.A.P.)とは、同等性認証の対象にはなっておらず、国内関連ではアジアGAP(旧JGAP ADVANCE)のみが対象となる。
農業環境対策課が作成した「GAPをめぐる情勢」文書は、このように事実に基づかない記述が多すぎるので、同課作成の資料や及川課長の説明を鵜呑みにして記事にすると、必ず訂正に追いまくられてしまう。

事業費=税金は
どこに流し込まれるか

農水省が来年度予算で要求している「GAP拡大の推進」事業費は8億8300万円。農業環境対策課が財務省に示した要求根拠は、これだ。
「輸出拡大や人材育成など我が国農畜産業競争力の強化を図る観点から、国際水準GAPの取組及び認証取得の拡大を図っていくために必要な取組を総合的に支援します」

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