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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
各国で異なるTHC濃度の基準
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第1回 2018年01月05日
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ヘンプに「産業用」を付けた理由
まず麻だが、この植物を語るときには用語の定義が重要である。植物全体を指すときには大麻草(Cannabis)を用いるが、布やロープ等の産業用はヘンプ(Hemp)を、嗜好用はマリファナ(Marijuana)と使い分けている。マリファナは、米国で19世紀から20世紀初頭にメキシコから大麻草をタバコのように喫煙する風習が伝わったときに俗語として広まった。ヘンプとマリファナは本来、混同されないはずである。それなのに、なぜ産業用ヘンプ(Industrial hemp)と呼ばれるようになったのか?
その答えは大麻規制の歴史にある。最初に国際規制を受けた1925年の第二あへん条約では、その対象は“印度大麻草”(後に薬用型に分類される大麻草のこと)で、ヘンプではなかった。しかし、61年の麻薬に関する単一条約では、品種や名称を問わず大麻植物であればすべてが規制対象となり、「産業上及び園芸上の目的の栽培」に限って規制対象外と定められた。後から考えると、このとき規制対象が栽培目的によって限定されたことが産業用ヘンプにとって不幸な出来事となる。というのも、大麻草に含まれている向精神作用を持つ化合物、THC(テトラヒドロカンナビノール)が分離・同定されたのが64年で、THCの作用を打ち消す化合物、CBD(カンナビジオール)の分離・同定も63年と、いずれも条約制定の数年後だったからだ。化学成分の含有比率によって品種タイプを区別しようという動きは、新たな研究が進み、分析技術が確立されてからのことである。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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