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スマート・テロワール通信

山形の食料自給圏、役者が結集


スマート・テロワールの仮説では、生産者、加工業、小売業が連携して「団体戦」をすることが必須である。17年、以下のチームが結成された。畜肉チーム、馬鈴薯チーム、大豆チーム、小麦チーム(調整中)それぞれが、農畜産物の開発・製造・販売を検討し、自給圏の仮説を実証していく。チームに地元の小売業「主婦の店」「ト一屋」が参加していることにより、店頭での試食販売やアンケート調査などを通した地域住民への訴求の機会に恵まれている。

「美味しい」加工品のための
厳選素材を研究

畑作の成果発表として、助教の中坪あゆみ氏より「畑輪作体系における実証展示圃のこれまでの成果」が報告された。ジャガイモ、大豆、トウモロコシ、小麦、(緑肥)の畑輪作で、それぞれ全体収量と規格内収量を上げることを目標にしている。
課題は、排水性が悪く、ジャガイモの規格外が多いため、17年は暗渠を設け、18年は追加で明渠を掘る予定だ。規格外品は自給飼料として豚に給与するため、肥育に適した飼料調製の研究も同時進行されている。
また、厳選素材を使用した「美味しい」加工品を提供するため、厳選素材の選別法と評価の研究も進められており、ジャガイモと大豆の研究結果が報告された。

豚肉加工品発売、引き続き
改善・課題解決を検討

17年12月初旬、ついに、庄内スマート・テロワール初の商品が発売され
た。大学で肥育された豚を使用したハムとベーコン、ウインナーである。
本件に関しては、(株)東北ハム代表取締役社長の帯谷伸一氏と、准教授の松山裕城氏より報告があった。帯谷氏は、豚肉加工品の製造方法を解説しながら、スマート・テロワールの趣旨に則った製品づくりを語った。
ポイントは、食品添加物を最小限に抑えていること、素材のうまみを引き出す熟成をしていること、比率の高い赤肉を活かした適度にジューシーながらパリッとした食感を重視していることである。
課題は、未使用の肩ロースとヒレの用途開発、ウインナーの味の改善、ナショナルブランドより3割安い価格で販売するためのコストダウンであり、それぞれの対策案が挙げられた。
松山氏は、耕畜連携の自給飼料の給与や、農工一体による安全で「美味しい」加工品をつくるための手法を解説した。加工品開発では、消費者による官能評価および分析型の官能評価を挙げた。分析型では、基本栄養素や専用機器による食感(せん断力価)と香り(香気成分)などの分析結果を示した。

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