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特集

コメを神棚から降ろせ


昆 だからパンに逆転されてしまうことになるんですね。
熊野 このままでは、助成金と制度は残っても、コメ自体は市場から消えると思いますよ。
昆 そういうことですよね。
熊野 米価を上げるために流通が歪むと、コメは市場価値をなくしてしまいます。くず米販売業者は、じつはコメの価値を最大限に出している人たちです。そういう人たちが、飼料用米増産政策で、業として成り立たなくなっています。安いコメの市場ができないとマーケットは育ちませんから、コメは産業にならないんです。
針原 他の業界では滝が何段にも分かれて落ちてくる例えから、カスケード利用と言われているのですが、わが国のコメは、まさにその代表例と言えます。日本民族は、コメを大事にしてきたので、食用米でいちばん高い品質から外れたものが業務用になって、加工の過程で出てきたくず米も粉も糠も、すべて無駄なく産業として活用してきました。飼料用米政策はコメを丸ごと家畜に与えることになるので、カスケード利用で生きてきた人たちが廃業せざるを得なくなってしまいます。そうするとコメをあまねく利用するという民族の技術もなくなっていきます。

【流通を歪める政策ならやめたほうがいい】

熊野 平成30年以降の政策を見ると、ひどいことに、中食や外食とマッチングして複数年契約すれば金を出そうとしていますね。金を出せば流通するなんていう発想でやって、うまくいくわけがありません。やはり市場がなければいけません。流通業者を弁護するわけじゃないですけど、金を出す政策があるから、なかなかコメ卸業界が自分たちでやっても無駄だと諦めていて、市場が芽生えてきません。自由にやろうとしても、かたや何万円ももらってつくるコメがあったら競争になりませんから。輸出米も新規需要米の括りのなかで生産すれば、2万円の助成金を出すことになりましたよね。でも、2万円もらうよりも、主食米をつくった方が手取りがいいんですよ。ですから輸出用米は安くなりません。お金をつぎ込んだらなんとかなるという発想は、もうやめたほうがいいですよ。
針原 問題は、次のステップや政策の行き着く先が示されていないことです。先に話したように、常に二つの議論があるので、コメ政策の根本に流れる、マーケットを重視するのか、米価を重視するのか、関係者だけで議論するのではなく、国民全体の問題として、すべてを情報開示しながら議論するべきです。この状態を続けるとおかしくなります。

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