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針原 フランスもイタリアも、かつては日本に小麦を買ってくれと言っていましたが、いまはパスタを買ってくれと言ってくるんです。オリーブではなくオリーブオイル、ブドウではなくブドウ酒、小麦ではなくパスタにすることで、農村に雇用と所得が生まれ、フードサービスが地方に集中します。それが六次産業化の意図だったんですが。普通の産業なら当たり前にやっていることです。
昆 FAOの統計を見ると、イタリア、フランス、オランダ、イギリスなど先進国は、1960年は原料農産物の輸出がメインだったのですが、いまは7~8割が加工品です。イタリアは、小麦の輸入が増えてもマカロニの輸出が多い。しかもブランドがつくれているから麦の生産量もそれほど落ちてはおらず、農業は健全な姿です。2~3年前に、北海道で、「北海道の食材を使って冷凍弁当やコロッケをつくって、北京や上海のスーパーやコンビニで売ればいい」と言ったのですが、反応が良くありませんでした。地方の原料と経済全体も含めて考えればわかることなのに、生産者に直接アピールできることでなければだめだということですね。すでに30~40歳の世代が経営している時代なのに、いつまで高齢者にこびた政策をしているんでしょう。若者をうんざりさせてしまいますよ。
針原 経営学の常識ぐらいは、もっと政策に活かしてもいいのではないかと思っています。
昆 僕は基本的に政策がリードするのではなく、民間がリードしなければならないと思っています。いつも例として挙げるのがカルビーです。ポテトチップをつくることで、北海道の加工用馬鈴薯の生産を伸ばしました。熊野さんがおっしゃった冷凍米飯も同じことだと思います。最も健全な形になれば、そこには政治も関与しようがないわけですよね。そういう意味では、政策が農業を壊していると思います。
熊野 政策が変わるのを待っていてもしょうがないので、自分たちでやるしかないですね。そういう動きは出ていますよ。たとえば、平成30年から、1000haで直播しようというところもあります。この規模はオープンになったらかなり衝撃的ですよね。外食産業も、等級検査を受けずに多収米を全部買い取っているところもあります。外食自ら川上に上っていくようになるでしょうね。
昆 大分でみつひかりをつくっている人が、手間をかけずに15俵/10a収穫して、17mmの網でふるって外食向けに卸に売っている人がいます。
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