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特集

コメを神棚から降ろせ


熊野 市場づくりをしようという意識を持っている人たちがいますので、少人数でやり始めると思います。それしか方法はないですね。
昆 やっぱり民間から壊していくしかないんですよね。
針原 マーケットは業界がつくるものなんです。政府は、そんなことをやっちゃいけないよって止めに入るのが役割です。コメは政府に依存しているから、政府に自主米センターみたいなものをつくってくれと言うんですよね。
熊野 市場の役割について、ひとつ言っておきたいことがあるんですが。生産者と1年先の売り渡しの条件で取引ができる市場をつくって、コメを担保に証券化すれば、生産者はそのお金で経営規模を拡大できます。たとえば生産する前に何万俵でもつくるための投資ができるわけです。
昆 それは先物とは違うんですか。
熊野 先物精算市場と、先渡し市場は別です。先物はあくまでリスクヘッジの手段で、特定の銘柄に限定されます。先渡し市場は、銘柄別に担保できます。それと先物精算市場を組み合わせればリスクヘッジもできるわけですよ。
針原 先物までいかないけれども、現物をベースにした予約相対のようなことは自然に起こってきますね。昔の青田買いです。食管法のもとでは禁止していましたが、やっぱり青田買いは世の中に必要とされて出てくるんでね。
熊野 昔、藩が採れる前のコメを商人に売って金借りていたんですよ。その保証は幕府です。江戸時代のほうが進んでいますね。

【いまこそ水田イノベーションを】

昆 お話しいただいたような加工や流通でのイノベーションだけでなく、根本の生産現場がイノベーションを起こさなければいけません。僕は、平成30年が転換点だと思っています。団塊の世代が全員70代になり、あと5年で農業を辞めます。すると集落営農も破綻します。つくる人がいなくなるわけです。一方、たくさん食べる若者が減っていきます。現在、年間8万t減っていますが、いままで以上に急激にコメの消費の減退が起きてくるわけです。僕は、20年近く前から、畑作技術体系に変えようと言い続けています。3年後、5年後から逆算して考えると、いまから始めなければなりません。その輪作体系のひとつに労働時間の少ない飼料用トウモロコシを入れようと言っています。千葉でトウモロコシの勉強会をしたときに参加した針原さんの後輩たちが来てくれます。でも、トウモロコシの話をすると、畜産の話になってしまうんです。水田経営の話にしなければいけないのに。食品需要を含めて。

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