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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

経営の寿命を延ばす策を探す


経営者のよもやま話に
会社会計のヒントあり

さて1月号は今年の抱負を兼ねて、1年を通して取り上げる内容の序章に充てたい。ついつい話が脱線しがちなこの連載だが、連載5年目を迎えるので、農業会計学の講座の原点に立ち戻ろうと思う。とくに会社経営の特徴を事例にしながら、解説をしていきたいと思う。
これまでも農業の法人化、そのメリット・デメリットについて、一般論としては触れてきた。しかし、現実の経営は十社十色で、農協をはじめとする取引先との関係に地域事情が反映されたり、家族構成や雇用、作目、複合経営の形が違ったり、教科書に載っていないことが多いように思えてならない。かつての指導的な立場にいた頃に教え込まれた建前も知識としては重要だが、今年は自社の具体的な事例や友人・知人の会社経営のよもやま話を交えて、もっと現実の会社経営に近い話をしようと思う。
たとえば、以前の連載でこんな話をしたことがある。中古のベンツを社用車で乗る社長は小金持ち、小金持ちの社長は中古を買うというエピソードだ。減価償却のルールを理解している経営者は、節税対策が上手であるという意味である。そこそこ利益があり、役員報酬を確保できていれば、減価償却分を増やす余裕ができ、節税対策を講じることも可能になる。
念のため税理士さんと協議が必要な事項であるが、社用車として新車を購入する場合と、賢く中古で済ませた場合を比べてみよう(図1)。
普通用途の軽自動車以外の乗用車の耐用年数は6年である。しかし、中古で、しかも4年以上経過したものであれば中古の耐用年数の計算式では2年となる。言い換えると、社用車に新車を導入すれば6年で償却されるが、常識的な車種を4~5年落ちで程度の良い中古で選択できれば、2年で償却が終わる。
具体的な金額を入れてイメージすると、より分かりやすい。新車の価格を1200万円、4~5年落ちの中古車の価格を500万円とする。1200万円の新車を6年で定額償却すると、毎年200万円が費用として計上される。一方の中古車を2年で定額償却した場合、単純計算で1年当たりの減価償却費は250万円となり、新車に比べて50万円多く費用に計上できることになる。
費用を多く計上すると節税効果を得られる理由は、利益から費用と報酬を差し引いた額が課税対象になるからである。費用を多く計上できれば課税対象額が減り、直近で節税効果が得られるというわけだ。この理屈を当てはめると、確かにベンツのような丈夫な車なら、親しいディーラーと上手くやりくりして状態の良い中古車を手に入れれば、節税効果が得られるだろう。

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