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とくに2次構を契機に、機械・施設共同組合が結成され、1戸では投資ができない当時の近代的設備を集落単位で手に入れ、共同で運営・管理を行ない現在に至る組織も多い。しかしながら、昨今は自立した経営が台頭し、むしろ機械・施設共同組合や集落営農的な組織に比べれば、経済規模も大きくなった。平たくいえば、個々の農業経営に力がついたのである。
このような機械共同組合や集落営農の今後の行く末はどうなるのか。個々の自立した農業経営者が共同で機械を利用したり、組織を運営したり、団体役員を担ったりしている現状について、皆さんの「あるある」を話に混ぜながら、農村や町内会、営農集団について、将来を予想しながら解説していきたいと思う。私も6つの組合組織の通帳を預かる会計職を引き受けており、さらに2つの団体の長でもある。私自身の宿題とも重なるので、皆さんと考えるのは良い機会となるだろう。
会計学の原点に回帰せよ
最後に後半戦には、会計学講座らしい項目を準備している。会社経営での手法を中心に、これまでのおさらいも含めて、各種台帳と労働時間の記録から行なう経営分析とその見方を紹介していきたい。
個別経営と会社経営の違いは、法的根拠の義務である。公認会計士や税理士に税務・財務の話を、社会労務士に雇用や労務の話を相談できる環境を日頃から作っておくことをぜひお勧めしたい。その上で、これまでも繰り返し述べてきたとおり、仕事は丸投げするのではなく、手綱を手元に残し、作業や相談をお願いする関係でいることが重要である。
さて、経営管理には、簿記の記帳と労働時間の記録が必須である。財務諸表といえば、これまでも貸借対照表と損益計算書を簡略化した6つの数字で捉えて解説してきた。我が国の会計基準では、キャッシュ・フロー計算書(C/F)と株主資本等変動計算書(S/S)を加えた4つが財務諸表とされているが、多くの農業経営者にとっては前述の財務2表を使いこなすことが基本である。今年も6つの数字を追いかけつつ、労働時間の記録等の情報と見比べて、経営改善の方策を導きたいと考えている。
生産性を改善しようにも、労働日報や日誌として整理されていなければ、働き方の工夫・改善を実行することはできない。個人経営ならば、経営者に采配が委ねられるところだが、会社経営では労働基準法、労働組合法、労働関係調整法からなる労働三法が適応される。対等な労使関係が規定され、原則としてすべての労働者に適応されるので、勤怠実績は出勤簿という形で整理しなければならないことになっている。この勤怠実績に日誌等の記録があれば、なお経営改善策を検討しやすくなる。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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