記事閲覧
【土門「辛」聞】
疑惑のグローバルGAP 補助金交付のデタラメぶり
- 土門剛
- 第160回 2018年01月05日
- この記事をPDFで読む
補助金交付先所在地は
レンタルオフィス
そのビルは、港区西新橋の日比谷セントラルビルだった。地上24階建てのビルを見上げて、外資系農薬メーカー、シンジェンタジャパンの社員と農水省の元技術官僚が立ち上げた組織のオフィスだけに、さすが立派なビルに入居したものだなと感心した。ところが、ビル内に入りテナントを示したフロアガイドを見て、狐につままれたような気分になった。教えてもらった事務所の所在地(14階)に、推進機構や協議会の名前が見当たらなかったからだ。目にしたのは外資系レンタルオフィス業者の名前だった。
推進機構と協議会は、ここを連絡場所としていた。俗にいうバーチャルオフィス。専用の固定電話番号があるので、「電話秘書代行パッケージ」というコースらしく、月額利用料は1万8000円らしい。
通常、レンタルオフィスを所在地とする組織団体が補助事業の実施団体になることはまずない。実績要件に欠けるという判断よりも組織実態そのものが問われてしまうからだ。農業環境対策課が、この2つの組織を優遇していることが理解できる。
その推進機構を前月号で「補助金の受け皿」のための組織と書いた。その時点では、確たる証拠があったわけではない。長年の取材経験から、外資系農薬メーカーの社員、農水省元技術官僚、バーチャルオフィスのことを結びつけていくと、「補助金の受け皿」にするために設けたとしか考えられなかったのだ。
及川課長には、ほどなく「あれ、レンタルオフィスだったよ」と報告しておいた。そのとき、課長が見せた驚きの表情は今も忘れられない。課長は、推進機構と協議会が日比谷セントラルビルに事務所を構えていたものと思い込んでいたようだ。
及川課長には、推進機構と協議会に翻訳に関係した補助金を交付したことがあるかどうかをたずね、あったとしたら、その成果物を閲覧させて欲しいと要望を出しておいた。
会員の方はここからログイン
土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)