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今年の市場相場を読む

年末年始需要で高騰する野菜類 オオバ/パセリ/クレソン/ワサビ

青果物の生産~流通業界にとって、年末年始需要はメインイベントであった。年末年始はかつて、業務用のみならず家庭需要も大きく膨らみご祝儀的な意味も含めて、単価が高くても消費者の財布のヒモは緩かった。しかしこの20年来を考えると、景気の低迷や生活スタイルの変化と、スーパーなどの小売店が元旦も営業するのが当たり前になり、消費者のまとめ買いも減って、市場相場はかつてのような活況が姿を消した。その一方で年末年始の外食など業務用需要は以前より活発化する傾向にある。その昔、年末相場が天井知らずだった野菜類はいま、どうなっているのか。10年間を対比してみる。

オオバ
愛知の独壇場傾向に。全国的に生産も消費も普及拡大

【概況】
東京市場でのオオバの入荷動向は、06年対16年では入荷数量は9%減少し、平均単価は23%高くなった。オオバの大半はハウスで栽培されており、不測の天候異変の影響がほとんどないので、この入荷動向の変化はそのまま生産~流通~消費の構造変化だろう。生産面では10年前は主産地愛知がシェア56%で茨城35%であったが、16年では茨城が20%に減った一方、愛知は出荷数量も増えるとともに、シェアも73%と専門産地の独壇場傾向だ。
【背景】
この10年で1割程度入荷減であるが、ほぼすべての月で入荷が減っている。その分、2割以上も高くなったが、オオバは安かったらたくさん買うという野菜ではない。購入単位が小さいだけに2~3割高くなっても売れ行きは変わらない。年末需要に関していえば16年では、12月は年平均単価の21%高にとどまっているが、10年前は46%、5割程度も高値になっていた。業務用が引っ張った相場だったのだが、消費者もまとめ買い傾向があったのだろう。
【今後の対応】
年末に東京市場の相場が上がるのは、地方転送があるためだ。産地は大消費地への一括出荷を増やしており、いわゆる拠点市場からの供給ネットができている。しかし、東京市場の入荷が減ったのは消費が減ったからだと見てはいけない。逆に全国的に消費が拡大しているため、地方でも近隣に産地ができていると見るべきだ。昭和の時代に、ツマ野菜から一般野菜に出世したオオバは、いまや年間を通じて家庭での需要が定着した必需野菜だ。

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