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イベントレポート

農村経営研究会2017年第3回定例会

農村経営研究会の定例会が2017年11月20日、都内で開催された。今回は「地域に根差した農村、地方から始める日本の再建について」と題し、『里山資本主義』の著者で知られる藻谷浩介氏と松尾雅彦氏の対談で盛り上がった。初めに、藻谷氏と松尾氏からそれぞれ話題提供があり、その後、地域内循環をキーワードに意見が交換された。

「東京で子供が減少、
地方で若返りが開始」(藻谷氏)

直近の5年間で、日本の人口は96万人減った。14歳以下では86万人減少、15~64歳では447万人減少、65歳以上は438万人増加。高齢者が増えて現役が減っているというのは、地方だけではなく、都市も同じである。都市は、地方から若い人が流入しても、出生率が低いので、地方よりも子供が減少している。若い人が減ると消費が落ちるので、農産物への影響も大きい。地方から都市に農産物を売ろうとしても、昔のように売れないのはそのためだ。少子高齢化と言われている問題は、じつは少子化である。中国でも米国でも同じ現象が起きており、世界中で高齢者だけが増えているという状態である。
ところが、農村は、少し前まで言われていた状態とは違う現象が起きている。群馬県上野村の例を見る
と、高齢者が減り始め、子供が減らなくなっている。高度経済成長のときに現在70歳代の団塊世代が都市に出ていき、高齢者が減ったことで福祉予算が減り、子育てに予算が回るようになったからである。これから、子供の人口は少し増加しながら、高齢者が減少していくので、村全体は年々若返っていくという状況だ。この状況は、都市よりも先に、農村地域で起きてきている。今後は、やる気のある地域には、若い人が入ってくるだろう。とくに女性は、東京では子育てできないということに本能的に気づき、地方に戻り始めている。

「スマート・テロワール」(松尾氏)

日本を人口密度別に3つに分けると、農村から都市に人口が移っていることがわかる。問題は、少子高齢化ではなく向都離村である。都市に人が来る限り子供は増えず、農村に帰れば子供は増える。
日本の自給率は、なぜ38%まで減ったのか。それは米以外は輸入されるようになったからである。家庭の支出額を見ると、米と比べて大豆、小麦、畜肉の食品が圧倒的に多い。これらを輸入に依存している。未利用農地の3分の1に当たる150万haで、輸入されている食材をつくり、地域住民がそれを食べる形をつくれば、自給圏ができる。生産者、加工業者、流通、消費者が手を組み、輸入原料のシェアを取っていくという考え方である。

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