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イベントレポート

農村経営研究会2017年第3回定例会


藻谷 収支バランスが取れていない。500億円の農産物を売っているのに対し、加工食品を800億円買っていたら食料自給率が低くなるのは当然だ。
【1%地元産の消費を増やせば人口が増える】
松尾 北海道173%、秋田県172%で、自給率では優等生に見える。しかし、帯広畜産大学で十勝地方の35万人が食べているものを調べたところ、十勝産のものは7%しか食べていないことがわかった。
藻谷 私は、各地で「どうしたら人口が増えるか」と問われたら、「1%地元の消費を増やせば人口が増える」と話している。茨城県稲敷市は人口4万人で、1人当たり年間200万円ぐらい支出している。その1%で地元産のものを買うと8億円になり、400人分の雇用が生まれる。十勝地方の場合、7%を1%増やして8%にすれば、1200億円が地元に落ちるということになる。
【地域内でつくる加工品の価格】
松尾 私は、手づくりハムやソーセージの最高級品を、ナショナルブランドより3割安く売れと言っている。ものづくりを極めたら、できるだけたくさん買ってもらって、1円でも安くするというのがものづくりの本分だ。地域内循環すれば、飼料が無償になり、貯蔵費や物流費が少なくて済み、作業の平準化により加工賃が安く済む。その仕組みが整うには数年かかるだろう。
藻谷 小規模であってもコストダウンしながら価格帯のスイートスポットを狙えるという実例を、今後、意識的に収集したいと思う。
松尾 自給圏をつくろうというとき、農村計画書が必要になる。米国に個人競争が推奨され、日本の農村は分断されたが、本来、地域というのは共同体だ。農家がバラバラに知恵を出すのではなく、実行する前に計画書をつくり、みんなで合意する必要がある。何かをやっただけで農村の力がつくという簡単なものではないことを理解してほしい。
(平井ゆか)

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