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新・農業経営者ルポ

買うならコンバインより製粉機

愛媛県西予市の農業法人(有)豆道楽は社名の通り、大豆の加工品を13種類も作っている。目指してきたのは、農産物を自らの力で売る「商品化農業」だ。「農産物は畑で収穫した時点で商品になるんだ」。そう豪語する社長の渡邊邦廣の経営を紹介する。 文・写真/窪田新之助、写真提供/(有)豆道楽
西予市宇和町にある豆道楽の加工場兼販売所を訪ねたのは2017年12月下旬のこと。扉を入ったところのすぐに陳列棚があり、従業員が奥でパック詰めした商品をちょうど並べるところだった。豆腐、がんも、豆乳……。大豆を原料にした商品が一通りそろっている。目の前の壁にはポスターが貼ってあり、すべて宇和町は新城産だと記してある。
「原料の大豆はすべてうちで生産したもの」
しばらくして帰ってきた渡邊が教えてくれた。上背は180cmはあろうかというほどで、聞けばかつてバレーボールの選手だったという。
話し始めて間もなく自社の豆腐を出してくれた。食べてみると、これがお世辞抜きにうまい。スーパーで販売している豆腐よりも大豆のうまさが伝わってくる。口当たりもいい。
渡邊が続いて取り出してきたのは袋入りのきな粉。「においをかいでみて」と言うので、手に取ると、鼻に近づける前にすぐさま香ってきた。「ところで、何か気がつかなかった」と言うので、考えあぐねていると、「袋が開いていないのに、におうのが不思議でしょ」。ああそうか、密閉されているのに、なぜきな粉の香りがするのか。どうやら特注の袋でもなんでもなく、一般に売られているそうだ。きな粉は香りが大事。だが、店頭ではそれを伝えられない。そんなもどかしさをどうにかしたいと探したところ、この袋を見つけたそうだ。
一連の大豆商品の6割は、渡邊が7年にわたって社長を務めた道の駅「どんぶり館」に出荷する。残りは県内のスーパーの系列店8店舗に卸したり、自社の販売所で扱っている。
作っている大豆の品種は加工に適した「フクユタカ」「はつさやか」。ついでほかの品目にも触れると、主食用米なら「コシヒカリ」と「あきたこまち」、酒造好適米なら「しずく媛」。小麦は「チクゴイズミ」「せときらら」「もち麦」、ブドウは「ピオーネ」「ふじみのり」「瀬戸ジャイアンツ」。

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