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たとえばお米のコシヒカリは60年以上昔の品種ですが、世界中どこも60年以上前の品種が6割のシェアを占めているところはありません。もっと病気に強いもの、もっと機械で刈り取りやすいもの、そういう要請に応えて民間の会社が品種改良していっているからです。
育種で生まれた新しい品種や、さまざまな農業技術を、農業生産者が選び、利用することができる自由があることが、本来あるべき日本の農業の姿だと思います。
(文/平井ゆか)
山根精一郎(やまね・せいいちろう)
1947年、東京都生まれ。76年、東京大学農学博士号取得後、日本モンサント(株)アグロサイエンス事業部入社。2002年、代表取締役社長就任。17年に退職後、(株)アグリシーズを設立。
【ジャガイモ農家が
遺伝子技術に期待すること】
小野寺 靖 北海道北見市
私は北海道北見市の専業農家です。加工用ジャガイモを13?haほど栽培しています。品種はオホーツクチップ、トヨシロ、男爵薯、スノーデンです。近年、近隣の市町村では、たいへん不安なことが多く起きています。ジャガイモシロシストセンチュウが発生するなど、これまでの農薬や耕種的な改善や防除などでは解決できないことが発生しているのです。そこで私が大いに期待しているのが、遺伝子操作による品種改良です。
私が昔から期待してきた遺伝子組換え技術と、最近注目されている遺伝子編集(ゲノム編集)という技術ですが、農業者の私には大きな違いはわかりにくいものです。
よく「ゲノム編集は遺伝子組換えとは違って安全だ」という方々もいますが、どこが違うのでしょうか。どちらも交配を行なわない、遺伝子の操作です。安全か危険かどこで判断するのでしょう。
遺伝子組換え作物はすでに20年以上の実績があり、私たちの食卓にもたくさん上がっています。ゲノム編集の作物は、まだ食べていません。
私は遺伝子組換えもゲノム編集も大同小異だと思います。遺伝子組換えは、テンサイや大豆などで、除草剤耐性という大きな実績があります。これにより、農業現場では完全な除草ができ、重労働とくに夏の炎天下でのたいへんな作業から解放されました。このような作業は、女性やお年寄りが担うことが多く、熱中症などの危険を伴います。
ただ、このような素晴らしい技術も、日本では利用されていません。日本の農業試験場では、利用に向けた栽培試験などいっさい行なわれておらず、また計画もないようです。私は、利用に向けた試験研究をお願いしていますが、まったく取り合ってくれません。
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